貴方の隣で。《紫》 (ページ24)

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『お邪魔します』

｢どうぞ、汚いけど｣

私が玄関に踏み入れた途端、

犬の鳴き声がして、

明らかにこちらに向かって走ってくる。

｢シーサーただいまぁ～いい子にしてたか～？｣

『シーサー？』

｢可愛ええやろ？ほら、Aやで～｣

『ねえ取り敢えず上がらせてよ』

靴を脱ぎ掛けた足が不安定で

手を壁について落ち着かせる。

お兄ちゃんは笑いながらごめんと謝り、

リビングに案内してくれた。

『思ってたより広いし綺麗』

｢そう？よかったわ｣

さ、飲もう飲もう、とお兄ちゃんは

リビングの真ん中に置かれた

低いテーブルに買ってきたおつまみを置き、

冷蔵庫にビールを取りに向かった。

｢改めて、乾杯！｣

『乾杯』

ひゃー美味いっ！とビールのCMの様に

喉を鳴らしながら飲むお兄ちゃん。

本当に美味しそうに飲む。

『いつもひとりで飲んでんの？』

｢まぁそやな、シーサーと遊びながら｣

な～と顔を見合わせるお兄ちゃんとシーサーは

どこか顔付きが似ている気がした。

｢は？！キスした？！｣

『うん。』

｢いや、ええねんけど、普通そういうのってあんま言わん方がええで…向こうは教授やねんから…｣

『そうなんだ。』

｢俺やからええけど別に｣

お酒が入って、

普段電話じゃしないような話もして、

盛り上がりも落ち着いてきた深夜23:50。

｢風呂入る？俺は酒入ってるからサッとだけ入るけど、Aが入りたいなら沸かすで？｣

『いや、いいよ。私もシャワーだけで』

｢ん、じゃあ先入っといで～｣

私はコンビニで買ったミニサイズの

シャンプーや化粧水等のセットを持って

指示された浴室へ向かった。

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