貴方の隣で。《紫》 (ページ3)

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｢最近は何のゲームしてんの。実はコツコツ街作ってたりして？｣

神山くんが聞く。

｢動いてないと死ぬ様な俺が箱庭ゲーム向いてると思うか？｣

『全く思いません。』

｢せやろ、俺はなぁこうやって銃構えて、ダダダダダダッ！って！｣

｢零してるから、ほら汚いって、｣

勢い余って重岡くんの零した米粒を

神山くんがテッシュで拾う。

重岡くんは気にとめず

ゲームの魅力を語り続けた。

｢ってな、つまり、ストレスが全部発散される訳。神ちゃんありがとう｣

｢どうぞ。取り敢えずそのゲームにハマってるのはよく分かったよ。｣

｢おう、だってな、ゲームやからさ。人を殺しまくってんのに捕まらんねんで？｣

私と神山くんの動きがピタリと止まった。

｢そりゃ、現実世界でやってもうたら捕まるやんか？ま、ああやって逃げてる奴も居るわけやけど｣

半笑いの重岡くんが指すのは、

連日取り上げられている

殺傷事件のニュース番組だった。

犯人はまだ捕まらず、

情報提供に高額のお金が掛けられていた。

｢ほんまに、物騒やな。｣

神山くんは溜息を付きながら

手を合わせ小さくご馳走様でした、

と言い食器を返しに行った。

｢気ぃつけぇや？Aも、女の子やねんから。こういう事件とかさ。｣

『女の子、』

｢え？あ、そういうの言われるの嫌やった？｣

『いや、その、女の子扱いに慣れていなくて』

｢ふふ、自分ほんまピュアやなぁ｣

大きな彼の手が私の頭に2回触れた。

｢じゃあ俺、食器返してくる｣

『ねえ』

食器を返しに行こうとする重岡くんと、

戻ってきた神山くんを呼び止める。

｢ん？｣

『どうして二人は、私と居てくれるの』

重岡くんは一気に眉間に皺を寄せた。

神山くんは至っていつも通り。

｢単に気が合うと感じてるからかな。Aは頭が良いから話していて共感出来ることが多い。真面目な話が出来るほど頭が良い人は同学年ではあまり居ないからね。｣

『なるほど。私が神山くんと一緒に居る理由と同じなんだね。安心した。』

｢なんかあったんか？｣

重岡くんが心配そうに顔色を伺ってくる。

『少し、疑問だったから。友人の多い二人がわざわざ私との時間を作ってくれる理由を知りたかっただけ。ありがとう、私授業入ってるから行くね。』

｢ああ、おう、｣

追いかけて来るように重岡くんも食器を返し、

三人はそれぞれ別れた。

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