幼なじみが落とそうとしてくる。【五条悟】 (ページ4)

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3. 無神経ページ4

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ピコーン、ピコーン…

ドアが開き、電車から降りる。
春の暖かい風が心地良い。

眠いけど、今日も1日がんば____…「おい。」

背後から肩をガシリと掴まれたので、思わず振り返る。
そこにいたのは、案の定、悟だった。
通り過ぎていく子たちが、彼に見惚れている。

『え…何？』

「何で別れたんだ？」

悟の目は、本物のビー玉のように丸くなっていた。
こぼれ落ちるんじゃないかと思うぐらいで、思わず手を差し出しそうになる。

…いやいや。
そんなことより、ストレートで聞いてくる無神経さ。

『何でって…。
それ、悟に言わないとダメ？』

「うん、ダメ。」

目には目を、歯には歯を。
拒否には拒否を。

私は悟の手を振り払い、スタスタと先を行く。
でも、彼の方が脚が長いので、すぐに追いつかれてしまった。

「だって気になるし。
すっげー仲良かったじゃん。」

早歩きの私とは違い、ゆったりと余裕を持って隣を歩いている。
これがリーチの差か……。
虚しい。

『だとしても、悟に言う必要はないよね？』

「は？
幼なじみだからあるに決まってんだろ。」

悟の無神経さと俺様具合に呆れ果ててしまう。
しかも、＂何言ってんだコイツ＂という風に見てきた。

その表情、そのままお返しします。

『嫌だよ。
絶対に言わない。』

至極面倒そうな顔を悟に向けた。
彼は不満そうに唇を尖らせていたが、そんなことは全部無視した。

彼氏と別れたのは、ほんの数週間前。
原因は、彼が他の子を好きになったから。

中3の時、彼からの告白で付き合い始めた。
別々の高校に進学したが、それでも空いている時間はデートをしたり、仲良くしていた。

でも、新しい場所には新しい出会いがあったようで、「他に好きな子ができた。」と、言われたのだ。
彼の心を取り戻したくても、取り戻せるぐらいの力が私にはなかったので、別れを受け入れるしかなかった。

「寂しくねぇの？」

『２年近く付き合ってたから、寂しいのは寂しいかな。』

ずっとそばにいた人がいなくなるのは、自分の体の一部分が奪われたのと同じで、寂しさは感じる。
そこだけ無駄に風通しがいいというか…。

「じゃあさ。」

悟は両腕を組み、いきなり私の前に仁王立ちで立ち塞がった。
そして、自信ありげな表情で、私のことを見下ろしていた。

「俺が付き合ってやろうか？」

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