幼なじみが落とそうとしてくる。【五条悟】 (ページ14)

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13. 宣戦布告ページ14

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ふわり、と悟の匂いが鼻を掠める。
この匂いも、掴まれた腕から伝わる体温も、空気も、全部が全部、息を詰まらせるようなものだった。

「幼なじみだからとか、Aへの態度とか、んなモン関係ねぇわ。
つーか、今さらどっちも変えられねぇよ。」

ズイッと悟が詰め寄ってきた。
目と鼻の先に、彼の体がある。
心臓の音が、聞こえてしまうんじゃないか。

『確かにそうだけど、俺様すぎるよ。』

「俺のこと、無理じゃねぇんだよな？」

私の言葉に耳を貸すことなく、悟は言葉を続けた。

「＂悟はぜってー無理。
ありえない、すげー嫌い。
うざい、消えろ。＂
ってキッパリ言ってくれたら諦めれんのに。」

『そんなこと、思ってもないのに言えるわけないでしょ…。』

「…そういうところな。」

悟が、ふいに私のことを引っ張った。
引き寄せられ、悟の胸に頬が当たった。
腕が背中に回り、強く抱きしめてくる。
ジャージを通して私の頬に、悟の体温と鼓動が伝わる。

抱きしめられていると気付いたのは、3秒後だった。

『なっ……えっ…？
悟…？』

頭は軽くパニック状態で、言葉がまったく出てこない。
悟の体を押し返すこともできるはずなのに、体がまったく動かない。

「俺が付け入る隙ありすぎ。
もうガバガバ。
……なので、明日から全力で落としにかかります。」

スゥッ…、と深く深く息を吸った。
それなのに、肺が満たされた感覚が一切ない。

＂落としにかかります＂とは、つまり、私が悟のことを好きになってしまうという_____…『断った！』

その声で体のスイッチが入ったのか、悟の体を思いきり押し返すことができた。
運動をしたわけでもないのに、息が上がっている。

悟は一瞬だけ唖然としていたが、すぐにニヤニヤ顔に戻った。

『私、断ったからね…！』

「でも、無理じゃねぇんだろ？」

『それとこれは別だから！』

「ぜってー落とす。」

悟のドヤ顔が忘れられない。
この宣戦布告に、勝ち目はあるのだろうか。

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