一途にも程がある その5【時透無一郎】

193.結婚する？ 〜無一郎side〜 ページ13

「最悪…！
あのスーパー行きにくくなったんですけど！？」



Aはぷりぷりして、俺の半歩前をスタスタと歩いている。
実は、あのおばあさんと話しているのをたまたま俺の友達が見ていて、「お前ら、いつの間に結婚したんだよ！！」と、大きな声で言っちゃったものだから…。
俺はいいんだけど、Aが怒っちゃった。



「無一郎のせいだからね…！
もー、ほんと恥ずかしい…。」



風で髪がなびく度に、Aの耳が見えるんだけど…真っ赤。
うーん、とんでもなくかわいい。



『じゃあ…本当に結婚する？』



いつかはしたいけど、今言ったのは冗談。
Aも「何言ってんの。」といつもみたいに笑って返してくれるかと思ってた。



Aは急に振り向き、俺とドンッとぶつかった。
顔からぶつかったので驚き、『大丈夫！？』と慌てて顔を覗き込んだ。



『茹でたこ？』

「う、うるさい…！」



Aの顔は茹でたこみたいに真っ赤で、うろたえていた。
予想外の反応に、胸がきゅうっとなる。



『その反応、ずるすぎ。』



袋を持っていない方の手で、Aの頰に触れる。
…熱くなりすぎでしょ。
かわいすぎでしょ。
どこまでも好きにさせる天才か、この子は。



「いきなりそんなこと言うからでしょ…バカ。」



プイッと体の向きを変え、またスタスタと歩いて行った。
そんな背中を愛おしそうに見つめ、ニヤニヤと笑いながらついていく。



東雲、これで分かったでしょ？
入る隙まったくないからねー。
だから、これ以上近付いたら、何するか分からないから。

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