90.好きです。 ページ44
ドクンドクンと体が脈打つ。
無一郎にまで聞こえてしまうんじゃ…。
「ね、早く。」
無一郎の綺麗な顔が私のことを見下ろす。
何のことか分かっているのに、『何が…?』と小さな声で聞いた。
「分かってくるくせに。
Aが自ら言うのを待っていたら、おじいちゃんになっちゃいそうだもん。」
くつくつと笑い、親指の腹で唇をなぞってきた。
その感触にぞくりとする。
『ここで…?』
ここは駅までの大通り。
辺りには人がいっぱいいるし、私でなくても恥ずかしい場所だ。
「うん、ここで。
誰も見てないし、聞いてないから。」
確かに、私たちのことは目にもくれず歩いている人ばかり。
でも…___
『恥ずかしいから無理…!』
無一郎の胸に手を当てて距離を取ろうとしたが、腰に回された手の力が強すぎて離れられない。
悔しさのあまり下唇を噛んで見上げると、いつもへにゃっとしているはずの彼の顔が、いつになく真剣だった。
「10年も待ったんだよ?
いい加減に素直になって。」
無一郎は10年間も私のことを好きでいてくれたし、待ってもいてくれた。
それなのに、私のくだらない意地のせいで余計に待たせてしまった。
好きなのにね…。
私の手は無一郎の胸に置かれたままだった。
その手をギュッと握り、彼のアウターを掴んだ。
何かに掴まっておかないと、力が抜けてしまいそう。
『あの…さ…。』
「うん。」
『私、かなり勇気出して言うからね…。』
「うん。」
無一郎が私のことを優しく見つめる。
何個目の心臓が口からまろび出たのだろうか。
もう、数えられないぐらいだ…。
『無一郎のことが好き…です。
10年間、待たせてごめんね。』
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優衣 - 無一郎がかっこよくてずっと心臓がドキドキしっぱなしでした♥️ (5月8日 10時) (レス) id: 95d1cd5894 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - 竈門夜蝶さん» 仲間!!高いけど可愛いんよ!貢いでまう…。時計もかわいいやろー?\(^o^)/ (2020年7月22日 22時) (レス) id: eb37705ec2 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - かすみんさん» もっと舞い上がらせるぜ!! (2020年7月22日 22時) (レス) id: eb37705ec2 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - むいくん推しさん» やっとやで!お待たせしました!!続編がんばる(ちゅ (2020年7月22日 22時) (レス) id: eb37705ec2 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - マナフィさん» ありがとうございますぅ!!好き!!(ぶちゅ (2020年7月22日 22時) (レス) id: eb37705ec2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朔夜 | 作成日時:2020年7月12日 20時