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ページ9

「……ん…私は……?」
「あ、起きた?良かった気絶で済んで。」

パタリ、と本を閉じる少女。重厚感のある分厚い本だが、栞の挟まれた箇所は1ページ進んだか進んでいないか、そんな所だった。

…クロロさんの勧めてくれる本、難しいんだよなぁ…。

大人びていても中身はまだ10歳、本などではなくゲームでもして遊びたい年頃である。少女はゲームにすら触れたことは無いが。

「確か、何者かに襲われて…そうか、君が助けてくれたのか。」
「んー まあそうなるのかな。」
「そうか、忠告した私がこうなるとはな…不甲斐ない。」
「そうでも無いって。あなたは強い。」

これは少女の本心だった。少女が青年を引き取りに来た際、引渡しに来た男の顔は腫れていた。その男は暫く試合も無く、怪我をする原因など青年以外に思い浮かばない。

恐らく抵抗された時に受けたであろう男の傷に、少女はへぇ、と感心した声が思わず漏れた事を覚えていた。

……男の念さえ無ければ、青年は男を圧倒していたに違いない。

「……君はまだ天空闘技場に残るのか?」
「いや、私はもう引き上げるつもり。」

そう言って少ない荷物を纏める少女。しっかりと借り物の本もリュックに詰め、くるりと青年に向き直る。

「あなたはどうするの?」
「私もこの街を出ようと思うよ。また狙われては適わないからな。」
「そりゃそうだ。あ、なら私が飛行船乗場までボディーガードしてあげよっか。」
「いや、そこまで迷惑はかけられない。私の体調は万全だ。心配はいらないよ」
「そう? なら良いんだけど。」

暇を持て余した少女にとって申し出を断られたのは残念な事であった。しかしこれ以上この事に突っ込んでは相手のプライドに傷がつくかもしれない。

少女は大人しく引き下がった。

「では私は先に失礼する。世話になったな、また礼をさせてくれ。」
「うん、じゃあね」



…『また』か…会える保障もないのに。



少女はそう思いながらも、心のどこかでまた会えるのでは無いかと予感していた。


「あ」



「名前聞くの忘れた」

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かぴばら2(プロフ) - キースさん» 結構量あるのに…!!ありがとうございます!これからもご期待に添えられるように精進します!! (2020年12月27日 0時) (レス) id: a02d4950c9 (このIDを非表示/違反報告)
キース - あえてこちらにコメントさせて貰いました!かぴばらさんが更新されているところまで読ませていただきました!とっってもタイプです!ずっと応援してます!頑張れ!( ̄▽ ̄)ゞ (2020年12月25日 23時) (レス) id: 7e1a44873b (このIDを非表示/違反報告)
かぴばら2(プロフ) - キースさん» キャラも世界観も話の内容もめちゃくちゃ良いですよね!!あの作品は人生のバイブルです…。応援ありがとうございます!これからも更新頑張ります! (2020年12月25日 22時) (レス) id: a02d4950c9 (このIDを非表示/違反報告)
キース - 気付いて下さった......!実は私も大好きな漫画なんですよ( ノ^ω^)ノ応援してますよ~!! (2020年12月24日 18時) (レス) id: 7e1a44873b (このIDを非表示/違反報告)
かぴばら2(プロフ) - キースさん» コメント今気付きました!遅れて申し訳ないです!ば、バレてしまいましたね…!私の人生にモロ影響与えた漫画なので使わせてぇなと思ったのが3年前です…。ぶっちゃけまずいと思った時には後に引けなくなってしまいました…トホホ (2020年12月23日 19時) (レス) id: a02d4950c9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かぴばら x他1人 | 作成日時:2018年5月5日 0時

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