CHUDOKU

8. ページ8

｢Aちゃんって、もしかして俺のこと知らない？｣




ベッドで2人寝転んで、彼は私の頭を撫でてる。


しなやかに動くその指がすこしくすぐったい。




『知らない？って.......今日初めて会ったじゃないですか』



｢はは、やっぱ知らないか｣



まあそれならそれでそっちの方がいいかなって笑いながら言ってる。



.......あ。

"藤ヶ谷"って、どこかで聞いた事あると思ってたけど、思い出した。

BARにいた女の子たちが話してた人·····。

好きになられたら困るって言ってたけど、もしかしてテレビとかに出てる人なのかな。









.......それより、もしこの人が女の子たちが話してた"藤ヶ谷くん"なら、私も今日だけで終わり？


まだ知りだしたばっかりなのに。


もう、会えないのかな。


また会いたい。


ごめんなさい。好きになられたら困るのかとしれないけど、多分もう私あなたのことが好き。









｢じゃあ、そろそろ行こうかな｣


『.......え、』


1人で悩んでいると、彼は着替えをしだしてしまった。


どうしよう。


このまま別れたくない。


またあなたに会いたい。





｢じゃあ、またどこかで会えたら.....『藤ヶ谷さん』






｢·····ん？｣





『私.......








彼氏、いるんです』








咄嗟に嘘ついた。



本命は他にいるって知れば、自分の方に気持ちが向くことはないって思ってくれるかなって。









｢......彼氏いるのに、俺についてきちゃったわけ？｣






心臓がどきってした。


普通に聞いたら、最低だよね。




｢Aちゃん、意外と悪いね？｣






顔見れなくて、ごめんなさいやっぱ嘘ですって言おうとしたら、






『·····んっ、』






キス、された。






｢そういうの、嫌いじゃないよ｣





って彼はにやって笑った。

9.→←7.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す