【第五人格】箱に閉じ込められた... (ページ12)

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白無常(神の眷属)の場合ページ12

今目の前で寝てる彼はとても信仰心があつい人だ。

聖書を手にして淡々と語るその形のいい口はうすらと半開きだ。

『謝必安？起きてください。この現状はどうなっているのか私と一緒に考えてください。』

足がスラリと長くて身長が高い彼は揺すると簡単に折れてしまいそうだった

「はい、神ただいま起床しました」

『謝必安私は神ではありません。お気を確かに』

白の仮面の中でうすらと瞳が開かれる

「はい、Aさんでした。」

ゆっくりと頷く彼は私とあまり会話が噛み合っていない気がする。

『謝必安、この状況に心当たりは？』

謝必安は首を回して周りを見渡すだが視界に移るのは無色で殺風景な箱。

「残念ながら...」

『そうですよね...』

「でも大丈夫ですよ！神は必ず私達のことを見ていてくれます！神は私達を助け出してくれるでしょう！」

ニコニコと笑いながら語るソレは嘘にしか聞こえなかった。

が、この箱から出るにも神頼みするしかないのだ

「Aさん！安心してください！私は神の眷属ですから！」

胡散臭い...だが、それは本当に文化の事情というのか。責めるにも責められるにも値しない。

真上から光が落ちてきそうな勢いで狭い箱の中で手を広げると私の手を掴んでくる。

『謝必安？』

「私の連れは神を信仰しないんです。」

泣きそうな顔で言う謝必安

「それどころか神の眷属を値にして神はいないなどと言うのですよ！私、最初はびっくり致しました！」

連れというよりかは彼の半兄弟の者だろう。

『あはは...』

扱いに苦しむ私は愛想笑いで逃げるしかない。

「神は私とAさんが結ばれることを望んでいるのです！」

『え？』

突拍子も無いことを打ち明かす彼の白い頬はほんのり赤く色づいていた。

「あれ？ご存知ないのですか？なら今言うしかありませんね。」

耳を塞ぎたい欲でいっぱいだった

「死ぬまで一緒なのです。私と貴方。」

聖書を読みながら見せてくるそれは最後の方に謝必安が手書きで他国の国のもので書いた字があった。

内容を察するに謝必安とAは死ぬまで愛し尽くすとかだと思う。

『謝必安？デタラメですよね？...』

ピクリと謝必安は動きを停止する。

「Aさん...まだ馴染みがないだけです。

ね？」

口は笑っていたけど目は笑っていなかった。

『...はい』

数時間後最近見かけなくなったバルクじいちゃんのぎっくり腰アタックをくらい箱は壊されたのであった