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027.優しさ ページ27




俊樹が優しい。




あんなに悲しく切ない別れ方をして
接し方がわからなくなっていたのに




もうただの知り合いなのに




ずっと一緒に解決策を模索してくれてて




それに俊樹はお酒が弱いはずなのに




【今日飲もうよ】と




無理に誘ってくれる。








そして今、目の前には
髪の毛がノーセットの状態の俊樹が焼き鳥を幸せそうに頬張っていて

私はそれを眺めている。







……たまに分からなくなる。
自分は事務所のために仕事をしているのかと。





【主役】という最大のチャンスを取り上げられ
望んでいないアーティストデビュー。





お祝いされ感極まり歌えなかったことに対して
ものを投げてくるマネージャー。






マスコミに取り上げられても、まるで他人事のように否定する事務所






今が辛い。
日に日に状況が悪くなっていくような気がしてならない。






……俊樹は私を飲みに誘って、なにか慰めてくれるのかと思っていた。






増田「これうめぇ〜。実家思い出す」

「っあ、うんそうだね。」





でも、、彼は楽しく食事をしたかっただけだった。
けど仮にどこかで忘れさせてくれようとしているのであれば

感謝をする他ない。






「あ」






なぜだか止まらなかった酒の手が止まったのは
ジョッキが空になってから。






すると俊樹は手を置いて






増田「今だけやと思っても、その今が辛いんよね。わかるよ。おれは」






そう言ってからまた焼き鳥を頬張る。







……何がしたいんだ、







正直今の自分の脳内処理では追いつけなかった。







増田「人に愛がないやつは、いずれ内面が見られるのよ。俺は味方だし……もちろんほかの人もね?」




俊樹は淡々と喋り出す。




増田「……覚悟があるなら事務所移籍するのも手だよ。契約期間過ぎてからとか色々と対処法はあるしさ。

……実際今は金銭面はどうなの?前よりマシになってきたん?」


「……変わらない」


増田「そっか。」









増田「俺が言える立場じゃないんだけどさ」









増田「心に傷を負う前にやめた方がいいと思う。ボイター事務所。」


「……え」


増田「俺だって新しく道切り開くためにTwitter閉鎖して事務所退所して……をしてたの知ってるでしょ?」



「うん」



増田「絶対にAに合う事務所は存在するはずだから。」










最後に彼はこういった








増田「俺のミサンガあるなら大丈夫」

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作者名:にむ | 作成日時:2021年9月8日 13時

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