【実.況.者】社内恋愛禁止

１２。牛沢と出張 ページ29

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「では、よろしくお願いします。」



「いやあ、牛沢さんになら安心して任せられますわあ。よろしくお願いしますね」



先方との打ち合わせを終え、会社を出ると冷たい風が頬を刺した。大阪への1泊2日の短期出張を命じられたのは先週の終わり頃。牛沢係長の補佐が突然入院することになり、代打として任されたのだ。



「はー。疲れた。よっしゃー飲み行くぞ！」



「いいですね〜。飲みましょう！」



すっかり日は落ちていて、サラリーマンがごった返す駅前は東京とは違った賑わいだった。タクシーを降りて目に留まった飲み屋に入る。



「いらっしゃいー！個室2名様ねー」



「…やっぱり活気がありますね、大阪って」



「だね。何回来ても慣れないわ。あ、コートかけるよ」



座席に座ると、牛沢係長がすぐにコートをハンガーにかけてくれた。さり気ない優しさにモテるポイントを感じる。とりあえず生ビールを頼みメニュー表を開いた時、スマホの通知が鳴った。



とわくん姉貴、ご飯食べた?今どこ?



「あっ、とわくん…」



「ん？弟さん？あ、もしかして約束してた？」



「いえ！約束してたわけじゃないんですけど、一緒にご飯食べたがってて。」



「そっか。まあ未成年でもお酒飲まなかったら大丈夫じゃない？」



「えっ……ここに呼んでもいいんですか？」



「俺は全然。むしろ話してみたいし。この間あんまり話せなかったからさー」



結局、牛沢係長のお言葉に甘えてとわくんと合流することに。彼に居場所を伝えると、大学の新歓で来たことがあるらしくすぐに向かうと連絡が来た。



「そういえば姉さんが『またAちゃんに会いたい〜』って言ってたよ。今度子供にも会いに来てって」



「わ、嬉しいです！娘さんにも会いたいなあ」



「写真あるよ、ほら。めっちゃ可愛いっしょ」



「わ〜ちっちゃくて可愛い…！ぷにぷにですね」



可愛いわあと姪の写真を見てニヤニヤする牛沢係長の姿に、胸がキュンとする。普段とは違う優しい顔。




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