【実.況.者】社内恋愛禁止

１０。キヨとモテ講座 ページ24

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「先輩！俺がモテるために、練習させてください！」



午後の営業に備えて早めに休憩を取り昼食を食べていると、彼は突然そう言った。



「モテる、練習…？」



私の頭の上には多分、ハテナマークが5個くらい並んでいる。彼は鞄を漁り、中から一冊の本を取り出した。



「『これさえやれば間違いなし！絶対にモテる仕草TOP20！』…？」



「これ、読んだはいいんすけど、ぶっつけ本番ってのも良くないじゃないですか。だから実践練習を…」



ようやく話が繋がった。私を練習台にしてモテたいということらしい。キヨくんにしてはやるな、と思いながら面白そうなので快諾する。



「よし！じゃあ、まずは〜…あ、これ！『一口ちょうだいと言ってあ〜んをお願いする』ですって！」



「ええ？いやでも、人いるし…」



いつもより早い時間帯のため人はまばらだが、人目が気になるのは私だけのようで、彼は御構い無しに口を開けてまだ？という顔をしている。

またキヨくんのペースに飲み込まれてる…そう思いながらも、仕方なくハンバーグを一口あげた。



「んー！美味しい！」



「…これ練習する意味ある？食べたかっただけでしょ」



あ、バレちゃったと言って笑って誤魔化そうとする彼は茶目っ気があってかわいらしい。普段からそのテンションなら、モテそうなのに。



「じゃあ、これはどうっすか」



何も言わずに、体を乗り出してくる彼によって顔の距離が縮まる。驚いて何も言えず固まっていると、なんか言ってくださいよ！と楽しそうにしているキヨくん。すぐに本を見せてきた。



『彼女の顔を覗き込んでみる』



「…うーん。覗き込むってよりドーン！って感じだったよ。びっくりしちゃった」



「なるほど。もっと控えめにってことっすね」




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