第四十五話 ページ44
「その後はどうなったんですか?」
「最初は一体だと思ってたんだけどね。
後にもう一体現れて二体とも逃げられちゃった!」
「そうですか……それで、その事が悠仁に僕の領域展開を見せることと関係があるんですか?」
「うん。少なくとも悠仁、ていうか他のみんなにはあれぐらいの特級呪霊には勝てるようになってもらいたいんだ。
それで、悠仁に術式から己を守る感覚を身につけるにはAの術式が一番適任だと思ってね!」
「人を物のように……まぁ、そういうことなら僕も手伝います。」
「ホントか!?ありがとなA!」
悠仁はぴょんぴょんと跳ねながら喜んでいる。
悠仁がこれから誰にも殺されないように僕に出来ることならなんでもしよう……
もう友達を失いたくない……
「じゃあ二人でちょっとやっといて。僕これから行くとこあるから」
「分かりました……じゃあ始めようか、悠仁」
「おう!」
「まず、さっきの復習だけど僕の領域展開は五感を封じられる。
だけど、呪力の流れは止められないし呪力で相手に感知もされる。」
「そう考えれば結構弱点だよな!それ。俺でもちょっとだけだけどすぐ感知できたし。」
「そう。けど、これは僕が呪力をわかりやすいように垂れ流してる時だけなんだ。
今がその状態で今から呪力の流れを止めるよ。」
「……?なんか変わったか?」
「さっきみたいに僕の呪力を感知してみて。」
悠仁はもう一度目を瞑り、先ほどと同じように集中する。
「なにも感じねぇぞ!すげーな!」
「でしょ?これで僕の領域展開は完成に近づく。相手に悟られず相手は自分がどうなったかも分からないまま死んでいくんだ。」
「こ、こえーな……それ。」
「けど、それでも僕が相手を斬るには避けては通れない道があるんだ。」
「なんだ?……技を出す時に呪力を感知されるとか?」
「正解!よく分かったね。相手が生身の人間だったらそのままこの刀で斬れるけど相手は呪術師や呪霊。僕の刀は呪具だし、斬る時に必ず呪力の流れが生じる。
じゃあそれを躱すにはどうしたらいいと思う?」
「んー……技を感知してから避ける?」
「それだと、避ける時には斬られてるよ。
正解は体に呪力の膜を張り、その上もう一度呪力の壁を張るんだ。体全体に。」
「そっか!呪力をぶつけて、相手の術式を感知するんだな!でも、膜を張るのはなんでだ?」
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作者名:ハクスイ | 作成日時:2019年7月2日 5時