第三話 ページ4
眼に黒い目隠しをした目の前の男はニカッと眩しい笑顔で自己紹介をする。
周りを見渡すと四方全域に御札が無数に貼られている部屋だった。その中心に今僕は座っている。
手には縄がぐるぐるに巻かれており、椅子の後ろに手を回されている。
｢五条……さん？ここはどこですか？……それに呪術師って？｣
先程発せられた言葉によく分からない単語があり、目の前の五条と名乗る男に聞いてみる。
｢呪術師っていうのはね……まぁ、めんどくさいから説明は省くね！｣
｢……はぁ！？｣
相手のよく分からないペースに僕はかき乱されていく。
｢それにね、君はもうすぐ死刑になるんだよ。｣
男からは予想外の言葉が発せられた。
僕が……死刑？……
｢なっ……なんの冗談ですか！？こんな所に閉じ込めて……訴えますよ！｣
すると男の表情はスっと暗くなる。
｢冗談……？そっちこそ冗談言うなよ……お前は人を三人�犲�い殺した�瓩鵑世茵�お前の手でな。｣
先程とは声色がとても低くなり、顔の表情は見えないが、とても恐ろしく感じた。
｢……そうですか……分かりました……｣
｢ありゃ？急に素直だね。どーしたの？｣
男は僕の顔を少し覗き込みながら不思議だと言わんばかりの声色をだす。
｢実は……意識が離れる前に見えたんです……彼等がグチャグチャになっていく様を……僕がこの手で……殺した……｣
いざ、実感してみると身体中の血の気がサッと引いていき、身体が冷たく感じる。
人を殺すというのはこんなにも冷たく暗いものなんだ……あんなことをされたけど、罪悪感で押しつぶされそうだ……
｢そう……君はこれから上の命令で死刑になる……だけどね……君を今日から呪術高専で引き取る事にした。｣
男から予想外の言葉が出てきて、頭の処理が追いつかない。
｢はっ…？……えっ！？｣
｢正確には君が殺したのではなく、君に取り憑いた怨霊が彼らを呪い殺したんだ。恐らく、君の周りについて霊たちを取り込むことによって力をつけ、君から負の感情が出た瞬間君の力も取り込もうとしたんだろうね。だから身体が乗っ取られた。君についた呪いを抑え込んで、ここに連れてきたってわけ。まぁ、上の連中は君を危険異分子として死刑にすることは分かりきってたから最初から高専に入学させるつもりだったんだけどね！ちょっとカマかけちゃった！｣
そう言い、また先程の明るい声色と表情に戻る。
これが……僕の呪術師としての始まりだった……
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作者名：ハクスイ | 作成日時：2019年7月2日 5時
