第二十一話 ページ22
「呪力が変わりましたね…とうとう本性を表したな!一条A!」
「うるせーよ…」
一条が凄まじいスピードで化け物に近づくと、腹に刺さっていた刀の柄を取り、右脇腹で止まっていた刀身を左肩まで斬り裂いた。
化け物の身体は斜めに真っ二つになり、化け物の生命活動は停止した。
「特級呪霊を不完全といえど、こうも簡単に倒しますか……」
一条の目は赤く染まっており、それは前の真希との戦闘で出てきた呪霊が一条の身体を乗っ取ったことを示していた。
だが、前よりも獣のような殺気は無く、冷徹な殺気が森中に広がっている。
「守る…守るんだよ……俺が…みんなを!」
「特級呪霊が殺られてしまったからね……もう用はない。」
夏油は一条から離れようと距離を取ろうと後ろに跳ぶが、一瞬でその差は縮まる。
「逃がすか…!」
顔を掴み、そのまま地面に押し付ける。
衝撃で地面が陥没し周りにヒビが入る。
「痛いなぁ……」
「うるせぇーよ」
そのまま立て続けに空いた手を使い、夏油の身体に無数の打撃を喰らわせる。
夏油の口からは鮮血が噴き出す。
「好き勝手出来ると思うなよ!」
夏油が反撃しようと一条の顔めがけて拳を振るうが一条はそれをかわして、夏油から距離をとる。
「領域展開……黒陰天地」
一条が領域展開を発動させ、夏油は領域に飲み込まれていく。
「まさか、呪術師を始めて二ヶ月の奴が領域展開を使えるとは思ってもなかったよ……出ておいで、ケリをつけよう」
「俺は今、お前の前にいるぞ。」
一条の拳が二発、夏油の顔と腹を襲う。
夏油の腰が腹の痛みに前に折れるが、立て続けに一条の蹴りが夏油の顎を襲う。
「見えねーだろ…俺の領域展開はなにも見えず、何も感じない。自分が立っているのか、座っているのか寝ているのかも分からない。人間の五感を全てシャットアウトさせる。」
「……調子に乗るなよ!ただの呪術師風情が!」
「お前こそ調子に乗るなよ呪詛師風情が……五条悟だけがお前らの注意人物だと思うなよ」
一条が刀を両手で握り、一つ深い呼吸をする。
「真・黒影流抜刀術奥義……陰流一殺」
刀が振り下ろされ、夏油の頭から股下までが一瞬で切り裂かれ、夏油の身体は二つに分かれた。
領域展開を解き、一条は一つ呼吸を置いたあと魂が抜けたように後ろに倒れた。
一条の傍には先程斬った夏油…ではなく特級呪霊の死体が転がっていた。
「これが、一条Aの力か…この先が楽しみだ」
夏油は闇に消えた
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作者名:ハクスイ | 作成日時:2019年7月2日 5時