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まず初めに来たのはタレの旨み、それを追いかける様にグレイトスタンプのバラ肉本来の脂の甘みが口の中に広がる。そして鼻に抜けるさわやかな香り。これは、オレンジ?インパクトの強いタレだが柑橘系の香りのおかげであとがしつこく無い。
メンチの思考、ここまでで約0.1秒。
「合格よ、及第点だけどね。」
「…なんで及第点か聞いても?」
もはや二人だけの世界である。他の受験者は置いてけぼりを食らっている。
((…これ、ハンター試験だよな。))
「ネタの味は最高よ。だけどスメシとの間に微妙なズレが出てる、オレンジのせいでね。これはスシとして致命的。そんなところよ。今回は料理の腕を見込んで合格にしてあげるけど。」
「あ、ありがとうございます」
「でも本当に、貴方の料理は美味しいわ。もっと磨けば世界一にだってなれる。自信持っていいわよ!」
そう言ってメンチは少女の肩を強く叩いた。
*
「…美味しいなんて言われた事ないなあ。」
「人に言われた事無いのにあんな自信持ってたのか?」
「いや、師匠にね、言われた事ないの。」
ここは飛行船の中。今受験者達はマフタツ山まで向かっている所だった。スシの課題は少女一名が合格となり、これは如何なるものかと再試験が行われる事になったのだ。
物思いにふける少女の顔は何処か重い。
「俺は何回も言ってるよ!本当にAの料理は美味しいんだ!ミトさんと同じくらい!」
「そうなんだよ。私が料理に本格的に自信を持てたのはゴンとミトさんがきっかけなの。」
「ミトさんって小さなお店持っててね、そこで料理を客に振舞っていいってなって、そこで初めて第三者の意見が聞けたから。」
「…師匠の口から美味しいなんて言われた事なくて、それまで頑張ってはいるけど自分でしか味を確かめられなくてさ、上達してるのか不安だったんだけど。」
「でもすげーじゃん。美食ハンターのお墨付き貰えるレベルまで上達してたんだろ?」
「みたいだね。なんか実感わかないけど。」
「もっと喜ぶべきなのだよ。胸を張っていい事だ」
クラピカに微笑まれ、少女は少し照れる。
「そうかな。」
ふわりと軽く笑う少女。なんだかスッキリしたな。人に話したからかな。少女の中で4人の存在はどんどん大きくなっていく。
彼らの存在で、胸の内にあるしこりをもかき消してしまえたなら。
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かぴばら2(プロフ) - クロムさん» 遂にバレた!!!そうです!DINARです!!初めて見た時にすげぇー!!やらせてぇ!!と思って衝動的に書いてしまいました…。今見るとすごく拙くてツッコミどころが満載なのでいつか書き直したいと思ってます…。コメントありがとうございます! (2021年4月29日 20時) (レス) id: a02d4950c9 (このIDを非表示/違反報告)
クロム(プロフ) - スカルジャック? (2021年4月29日 9時) (レス) id: 11c6fe3903 (このIDを非表示/違反報告)
かぴばら(プロフ) - ピポ助さん» ひぃ…コメント今気づきました遅くなって申し訳ないです! やっぱりイルミは病んでないと始まりませんね!これからも頑張ります! (2019年9月11日 21時) (レス) id: 90b4b3f2c9 (このIDを非表示/違反報告)
ピポ助(プロフ) - コメント失礼します!イルミのヤンデレ具合が最高に好きです…!これからも頑張ってください!! (2019年9月3日 1時) (レス) id: 4111e46406 (このIDを非表示/違反報告)
かぴばら(プロフ) - 名無しさん» 大変永らくお待たせしました!またふらっとふわっと消えてしまうかも知れませんが、どうか御容赦願います。暫くは更新し続けたいと思っています! (2019年7月5日 1時) (レス) id: 90b4b3f2c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かぴばら x他1人 | 作成日時:2018年6月6日 23時