"自称" 陰キャは愛されたい

▽ ページ13

♡*.+



「俺が出てる試合は全然見に来ないじゃん」

『え……いや、まぁ』

「俺のこと嫌い？」

『はあ？何でそうなるの』


何だ、何なんだ。今日の伊東は変だ。チャラいっていうか、甘いっていうか。窓枠に組んだ両腕を乗せて私を見る。太陽の光が斜めに差し込むから、ノーセットの無造作な金髪がキラキラ輝いて。


「……俺のことも、もっと見ててよ」


そんな漫画みたいなセリフ言われたら。例え相手が伊東でもドキドキしてしまう。いや、普段そんなこと口にしない伊東だからこそ、見つめられた目を逸らせないまま数秒。


『ッ〜〜〜！わ、分かったから！！そうやって私のことからかうの禁止！！頭おかしくなる！！！』

「ふは、照れてる？」

『うるさい！あほ！ばか！陰キャ！』

「最後トドメ刺してくるじゃん」


ケラケラ笑う伊東は無視して、もう一度窓の外を見る。ほんと、今日の伊東は心臓に悪い。まだどくどくと高鳴る胸を必死に抑えながら薫の姿を探すと。


『……お、え？』


タイミング良かったのか何なのか薫も上を見上げていて。目が合ったから全力で手を振り返すと。


”ば ー か"

『はぁ？！？』


口パクで確実にそう言っていて。急に何なのと思って私も必死で抗議するけど、ふいっと視線を戻されて、それ以上何も出来なくなる。


『……あの野郎、生意気になりやがって』


手の骨をポキポキと鳴らすと「怖いってお前」と横から突っ込まれたけど。



♡*.+

王子降臨！→←▽

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す