上上吉の九人九色 (ページ29)

今日:15 hit、昨日:33 hit、合計:100,948 hit

・ページ29

dt side

相手の基地に向かう間誰も喋らなくて

普段の騒がしさどこに行ったんだって密かに笑いそうになってしまった

きっといつものうるささが吹っ飛んでいるのは須野高の奴らも同じなんだろう

誰か横に並んだなと思って見てみれば岩本

俺の方を見ることなく口を開いた

iw｢悪いな、巻き込んで｣

dt｢いや、いずれ俺らにもまた絡んできてたかもしれないしそんなに気にすんな｣

さっきよりも少し嬉しそうな声で"おう"、って一言

なんだろう、似ているんだろうか

岩本との会話のテンポはどこか落ち着くものがある

iw｢ライバルの俺らが一緒に敵んとこ行ってるってなんかすげえな、笑｣

dt｢......俺らがライバルである必要性ってなんなんだろうな｣

俺の言葉にはっと顔を上げた

びっくりしたように目を開いていたけどすぐにふにゃりと笑った

こんな笑顔初めて見たかも、

周りを見てみれば阿部と佐久間が至近距離で話していたり

目黒と向井、ラウールまでも軽く言葉を交わしていた

そしてなにより翔太と深澤がちらりと視線を交えて軽く拳をぶつけ合っていて

岩本も同じようにその光景にはびっくりしたみたい

dt｢俺ら頭硬すぎたのかもね笑｣

iw｢だな、、こんだけ味方になれば心強いやつ、いないのにな、｣

目が合って笑いあって

これからの俺たちは何か変わっていくんだ

そう思ったらなぜだか嬉しくてたまらなかったんだ