夢のような現実 ページ23
in side
目を開くと、そこは明らかに自分の家じゃなくて、いつもとは違う景色が視界に広がっていた。
隣を振り向くと、どアップで山田の寝顔があって。
『やまだ!?』
思わず おっきい声出しちゃった
「ん… いのおちゃん?」
長い睫毛が揺れ 、ゆっくりと開かれる瞼。目が合っただけでドキドキと高鳴る胸に 山田のことが好きなんだと改めて思わされる。
「今日から夏休みだし、もうちょい寝とこうよ、」
そう眠そうに言う山田が俺の身体をぎゅっと抱き締めてきて、すっぽりと彼の腕に包み込まれる。素肌同士が触れ合い、直に感じる山田の体温。鍛えられて引き締まった彼の体つきを目の当たりにして不覚にもキュンとしてしまったり。
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そういや、なんでこんなことになってるんだっけ…
思いがけないことの連続で すっかり眠気が覚めた俺は 今の状況に至るまでの経緯を思い出そうと頭をフル回転させる。
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… そうだ、誘発剤飲まされて、
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微かに痛む首筋が全て現実だと実感させる。
全部、夢じゃない 、俺、山田と…
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「ぼーっとしてどうしたの?まだ誘発剤が、」
『山田、俺のこと好き?』
「もちろん。好きだよ、伊野尾ちゃんが」
『… 俺も、好き』
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君を一目見たときから 、他のαとは違う何かを感じた。君に愛されたらどんなに幸せなんだろうって思った。
どんなに愛を伝えても愛されたことなんてなかった、所詮αの性の捌け口でしかなかったΩに、俺に、当たり前のように好きだと返してくれたのが嬉しくて。
この甘くて幸せな時間がずっと続いてほしい、そう願わずにはいられない。
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『もし、番を解消したいってなったら言ってね 、その時は…』
「そんなの心配しないでいい。」
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不意に顔が近付いたかと思えば、ガリッと首筋に歯を立てられるのを感じる。
『んっ…』
「俺は 伊野尾ちゃんを離す気ないから」
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… サラッとかっこいいこと言うな、このイケメン野郎
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俺も、離れたくないよ、君から。
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作者名:猫 | 作成日時:2023年3月1日 20時