【文豪ストレイドッグス】太宰治に貢ぎたい

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横浜に森林に覆われた場所がある。

立地的にも、影が多く何より人が寄り付かない事から密会には大変宜しい場所。


首領の周りには黒蜥蜴が警戒態勢を取りながら歩いている。

嗚呼、治君がいる！
美しくコンクリートの上で脚を組み此方を眺める治君の尊さは異常。


矢張り首領を見る瞳は昔を沸騰とさせる闇を含んだ治君らしい眼をしている。

ほう、と息が漏れた。


「ようこそ、首領」


「4年ぶりだねぇ。…私のあげたコートは未だ使っているかい？」


「勿論。

焼きました」


にこやかに告げる治君に抱きついて「尊い！！」と叫びたい。
私とて時と場合は選ぶし、そんな事をすれば二度とこういった場面で連れ出して貰えなくなるので止めた。

偉い、偉いぞ私。


「ポートマフィア首領、森鴎外殿」


治君に夢中で見えていなかった福沢さんが此方へ歩み始めた。
後ろへ待機していた以前会った国木田さんが此方に、気が付き目を開いているのが見える。

「武装探偵社社長、福沢諭吉殿」

首領、福沢さん…お互いの距離が縮まっていき、
傍に護衛として立つ黒蜥蜴達が一斉に臨場体制に入った。

私は、其れをゆったりと眺める。


「探偵社のある新人が、貴君らポートマフィアとの同盟を具申した」

「ほう」

矢張り中島敦が提案したのか。
予想通りの答えに、2人のトップから視線を外し治君へ移りかえる。

「ポートマフィアに何度も打たれ、切られ、拐かされた者からの提案だ。
言葉の重みが違う」

嗚呼、なんと嘆かわしい。

「同盟ならずとも、一時的な停戦を申し入れたい」


この裏社会を牛耳るポートマフィアが、躍起になっても探偵社の人間1人も殺傷出来ず、人虎をも逃がすなど嘆かわしいにも程がある。

「シェリングを読まれたことは?…ナッシュに、キッシンジャーは?」


「『いずれも戦略論の研究家ですね』」


ハッ、と治君との台詞が、被り口を覆った。

やだ、私ったら！治君と同じこと考えてた？？運命？？これは、正しく運命 では？？

「孫子なら読むが？」

ふっっるい。

古いよ、福沢さん。
いや、別に悪い訳では無いけれどもっと最新の物にも目をかけた方が良い。

意外とああいう本はいざと言う時に役に立つ。

今や一組織の社長なんだから、戦略や知略系の本は読み憶えていた方が良いよ。


そう、心の中で訴えた。

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