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部屋に篭って7日の月日が過ぎた。


私は廃人同然で同じ様な仕事を淡々と熟す。
風呂等一通り生活出来る執務室だが矢張り外に出ないと気分は下落して行くばかりである。



「津島幹部補佐!大変です!」



息を切らした部下の一人が部屋に突入して来た。



『なあに?またビルが消えて仕事が〜とかだったら心が折れるんだけど』


「い、いえ…!そうではなく!!夢野久作が…」


顔を強ばらせた部下からの報告に私は目眩を起こした。




◇◆◇





はあ、はあ、と息が切れるのが分かる。

私は非戦闘員である。


少し走れば息が切れるし、痛みにはめっぽう弱い。



それでも走ったのは、この横浜の現状をこの目で見る必要があったからだ。




『…っな』



それは地獄絵図であった。


恐らくQの異能によって齎された災害。
街が、燃えている。


「Aさん、ビルに戻ってください。ここは危険です」


『中原君…』



私の姿を確認したのか彼は私を庇うように隠した。




「Aさん、早くしねえと…」


『…中原幹部。首領からの命令です。何よりも横浜を優先しなさい』


私に構っている暇は無いぞ、と訴えるとぐっと彼は帽子を深く被った。



「……、交通網を死守しろ!死ぬ気で守れ!」




幹部として、黒服達に中原君は命令を下した。


さて、私も逃げるとしよう。


正直、ここに居れば確実に死ぬ。



『治君が何とかしてくれるのを祈るしかないな…』


何も出来ない歯痒さを胸の内に閉まって、邪魔にならないよう急いでその場を後にした。







暫く走り、人気のない裏路地に隠れる。


『ッハ…ハァ…体力、の無さすぎは問題かも…』


この騒動が終わったら、走り込みでもしてみるか…と考え、止めた。

心配症な人達が必死に止める絵面が頭に浮かんだからだ。



『……これは、煙幕…?』


不意に此方に充満してきた桃色の煙にホッと息を着いた。




『間に合ったんだ…治君』



ズルズルと地面に座る。


流石治君、仕事早すぎ。


もう推しの有能さが神がかってて最高。

一生推せる。



『気を取り直して、Qの奪還作戦考えなくちゃ…』



正直治君の手を借りたい。
こんな時、彼が居たら…なんて考えて首を振った。



探偵社と、ポートマフィア。



相容れない二組織が手を組んでハッピーエンドなんて夢物語ある筈ないのだから。



でもまあ、手を組むじゃなくて休戦なら…




『あ、そうじゃん』



其の手があった。

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ユウリ(プロフ) - ねころさん» 個人的に私もそこ大好きなので(自画自賛)同じ人が居て嬉しいです〜(^^)祝日の間にあと一、二話更新出来たらなぁと思います (2019年9月16日 7時) (レス) id: 7b452ad7ad (このIDを非表示/違反報告)
ユウリ(プロフ) - 神皇音雅樂さん» 指摘ありがとうございます!深夜テンションで書いていたので全く読み返した時と分かりませんでした……ストーキング夢主をこれからもどうぞよろしくお願いします(( (2019年9月16日 7時) (レス) id: 7b452ad7ad (このIDを非表示/違反報告)
神皇音雅樂(プロフ) - 夢主の太宰への一途さが可愛すぎます。これからも更新頑張ってください。あと、32話の"人の話"が"人な話"に、"首領の話"が"首領の話し"になっています。訂正お願いします。 (2019年9月16日 7時) (レス) id: d0313e3af1 (このIDを非表示/違反報告)
ねころ(プロフ) - 潔い…しゅき…のところが好きすぎて見返しては頬が緩むのを感じます。更新楽しみにさせて頂いております。 (2019年9月16日 0時) (レス) id: ef39eb690c (このIDを非表示/違反報告)
ユウリ(プロフ) - コメントありがとうございます!応援して頂けると本当に励みになりますm(_ _)m (2019年9月10日 18時) (レス) id: 7b452ad7ad (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユウリ | 作成日時:2019年8月12日 13時

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