19 ページ21
人が混み合う交差点、私は壁に寄り掛かり携帯を眺める。
部下からのSOS着信が止まずかかってくるのを見て、そっと通信拒否をした。
何せ、事務員が多く居た7階建てのビルが数少ない事務員と共に消失し人員不足に拍車がかかった。
今頃急遽流れ込んだ多すぎる仕事の山に部下の胃はキリキリと悲鳴を上げているに違いない。
恨むなら、私ではなく私を誘った首領を恨め憐れな構成員。
「エリスちゃ〜ん!何処に居るんだい、エリスちゃあ〜ん」
『まだ見つからないんですか』
「Aくんも一緒に探しておくれよ!」
エリス嬢が突如失踪した。
首領…もとい、森先生がエリス嬢を探し始めて早1時間以上が経過しようとしている。
正直、ぶっちゃけると異能力を解除してもう一度発動させれば良いのでは?と思うが彼にそれを言うのは野暮な事だろう。
『…、あ』
信号の所で、見覚えのある白髪が見え指を差した。
賞金首の中島敦君が居るじゃないか。
彼の傍には探偵社員が二人付き添っている。
『森先生』
「エリスちゃあ〜ん」
『…人の話を聞けよ』
さも自身は人畜無害な一般人で御座いますと言わんばかりの情けない声を出し、人虎関係なしにフラフラと交差点へ向かっていく。
信号が青に変り、人々が歩きだし始めたのを見て人混みの中に一際目立つ赤髪を捉えた。
森先生へ足を急がせる。
あの赤毛の少女は、組合のルーシー・Mだ。
恐らく、ビルを一夜で消失させた異能力者の仲間。
あの人に限ってポックリ死没する事はないけれど、一応部下として彼を進んで危険地帯へ連れて行くわけにはいかない。
駆け足で森先生の後を追う。
『森先、』
横断歩道へ足を踏み入れ用途した時、目の前で人々が消失した。
思えば、今日はあまり良いことがない。
組合のせいで仕事は増え、意味の無い外出に時間を費やし、上司たる首領を敵の異能力に捕えられる。
『…厄日だ』
はあ、とため息が零れた。
◇◆◇
暫しの時間が過ぎ、森先生が戻った。
傍らには、人虎と探偵社員がいる。
2名の探偵社員はあまり傷を負っていないようだ、人虎も異能力が原因か服が破けているだけで目立った外傷はない。
すぐ横でニコニコと楽しそうに笑う少女に私は微笑んだ。
『エリス嬢、出て行ってあげたらどうです?』
「そうするわ、ほら!Aも一緒に行くのよ!」
『エリス嬢がそう望むなら』
手をグイグイと引っ張られて、されるがままに足を運んだ。
638人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユウリ(プロフ) - ねころさん» 個人的に私もそこ大好きなので(自画自賛)同じ人が居て嬉しいです〜(^^)祝日の間にあと一、二話更新出来たらなぁと思います (2019年9月16日 7時) (レス) id: 7b452ad7ad (このIDを非表示/違反報告)
ユウリ(プロフ) - 神皇音雅樂さん» 指摘ありがとうございます!深夜テンションで書いていたので全く読み返した時と分かりませんでした……ストーキング夢主をこれからもどうぞよろしくお願いします(( (2019年9月16日 7時) (レス) id: 7b452ad7ad (このIDを非表示/違反報告)
神皇音雅樂(プロフ) - 夢主の太宰への一途さが可愛すぎます。これからも更新頑張ってください。あと、32話の"人の話"が"人な話"に、"首領の話"が"首領の話し"になっています。訂正お願いします。 (2019年9月16日 7時) (レス) id: d0313e3af1 (このIDを非表示/違反報告)
ねころ(プロフ) - 潔い…しゅき…のところが好きすぎて見返しては頬が緩むのを感じます。更新楽しみにさせて頂いております。 (2019年9月16日 0時) (レス) id: ef39eb690c (このIDを非表示/違反報告)
ユウリ(プロフ) - コメントありがとうございます!応援して頂けると本当に励みになりますm(_ _)m (2019年9月10日 18時) (レス) id: 7b452ad7ad (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユウリ | 作成日時:2019年8月12日 13時