かっこよくて強くはないけど、誰かは守れる刀剣

２１振り目:疾走中 ページ25

Noside

和泉守は走っていた

本丸に来る前、時間遡行軍と戦ったときよりも速く走っていたかもしれない

近侍たる歌仙に乞われてある刀剣男士たちを呼びに行くために、和泉守は走っていた


宏介side

なんて走れメロスみたいなはじまりだが許してほしい。緊急事態なんだ

さっき長谷部に「廊下を走るな！」と怒鳴られたが「主命遂行中だから許せ！」なんて言えばすぐに引っ込められた

とりあえずで辿りついた脇差部屋の障子を勢いよく開けば中でトランプをしていた脇差たちがぎょっとしていた

鯰「えっ！？和泉守さんどうしたんですか！？」

『はぁーっ！はぁーっ！...物吉いるか』

鯰「えっ物吉？」

物「お呼びですか？」

視界にベージュ色の髪が見えた直後に俺は物吉を担ぎ上げるとその勢いのまままた駆け出した

脇差「えぇっ！？」

『悪いがちょっと借りてくぞ！！』

物「ちょっどういうことか説明してくださぁぁぁぁぁ！！」

俺が去った後に響く物吉の悲鳴はドップラー効果の如く響き渡った

浦「ど、どうしたんだろうね...？」

青「激しいねぇ...一連の流れのことだよ？」

堀「はいはい...それにしてもなんで物吉くんを？」

骨「...いつもの「あれ」が原因だろう。俺はたまたま審神者部屋の近くにいたから聞こえた」

鯰「あー...それでか」

堀「そりゃつれても行くね...」



畑...

『燭台切ーー！！太鼓鐘はいるか！？』

燭「うわびっくりした！どうしたの和泉守くん物吉くん担いで！！」

収穫物のかごを持っていた燭台切は飛び込むようにして畑に来た俺にかなり驚いていた...まぁあたり前だがな

ちなみに物吉にはすでに経緯説明済みだ

『それより太鼓鐘は！？』

燭「貞ちゃん？貞ちゃんなら伽羅ちゃんとそろそろ来ると思うけど...」

鐘「みっちゃーん！他のやつも持ってきたぜー！」

明るいその声に振り向き、派手な羽飾りが見えた直後に俺は物吉と同じように太鼓鐘を担ぎ上げた

ちなみに持っていた収穫物はちゃんと地面に置いた

倶「はっ！？」

燭「ちょっと和泉守くん！？」

『悪い！ちょっと借りてくぞ！！』

鐘「ちょっ待て！降ろせーーー！！！！」

太鼓鐘の怒りのこもった悲鳴は畑中に響き渡った


倶「...なんだったんだ」

燭「さぁ...？」

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