海沿いの喫茶店２

５４品目:地元タウン紙 ページ21

柘榴side

『取材ですか？』

イチゴのヘタを取りながらそう尋ね返せば、注文したイチゴたっぷりのタルトを頬張りながら日向さんは詳しく説明してくれた

日向「この間ここのスイーツ持って友だちのところに行ったのよ〜。それでね、その子地元のタウン紙の記者やってて「ぜひ取材したい〜」って」

『日向さんって、うちのスイーツ使って着々と出世してません...？』

日向「やぁねぇ〜！そんなわけないじゃない！」

顔は笑ってても目は笑ってねぇ...！！にしても取材か...

店長のときに来なかったのは、単純にあの人がそういうことを好まなかったからだろう

「地元の知る人ぞ知る店」なんてのがあの人のテーマだったし、それを俺が崩すのもな...あ、そうだ

『一つ条件があります。承諾してくださるなら受けますよ』

日向「おっなになに？」

『ここの明確な住所を出さないことです。出すにしても「夢ノ咲学院の近く」とか、ぼかしてもらいたいです』

日向「あらそう来たか...オッケ任せて。強引にでも承諾させるわ。日にちはそうね...三日後の定休日は？」

『いいですよ』

これならみんながんばって探してくれるだろ



三日後...

夏川「はじめまして！夢ノ咲タイムズの夏川です！今日はよろしくお願いします！」

『よろしくお願いします』

約束通りの時間に店に来たのは春らしい格好をしたポニーテールの若い女性だった...日向さんと友だちっていうから多少は身構えてたけどそうでもなさそうだ

『ところで、出させてもらった条件なんですが...』

夏川「もちろん守らせてもらいます！じつはこのお店、私の祖父も通ってたんです。祖父の思い出があるこのお店を取材させてもらえるなら、なんでもしますよ！」

『夏川さん熱心ですね...』

こういう情熱的な人間が実を結ぶ世の中になりゃいいんだがな...






夏川「それでは、段取りを説明させていただきますね。まずインタビューをさせていただいて、その後にお料理や店長さん自身のお写真を何枚か撮らせていただきます」

『わかりました。さっそくやりましょうか』

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