36品目:ソルムの日常 ページ3
柘榴side
『いい天気だな...』
秋雨もようやく落ちついて、いまは秋の穏やかな日差しが降り注いでいる時期だ。朝昼と夕方は冷え込むから、だんだんと冬に近づいているが
カランカラン...
『いらっしゃいませ』
「こんにちは柘榴ちゃん。ひさしぶりねぇ」
『おひさしぶりです、裕子さん。しばらく来ませんでしたけどなにかあったんですか?』
裕子「えぇ、この間孫の結婚式でねぇ...終わって色々と落ちつくまで、娘のところにいさせてもらったのよ」
『そうですか...おめでとうございます。ご注文は、いつもので?』
裕子「えぇ、お願いね?」
先代からの常連である老婦人の注文を受け、それを作る前に配膳する予定だったデザートのセットを運ぶ
『お待たせしました。パンケーキのマロンクリームとスイートポテトタルト。お飲みもののアイスティーとレモンティーです』
夏希「きゃ〜〜〜!きたきた!」
雛子「相変わらずキレイだしおいしそ〜〜〜!さすが柘榴さん!」
『ありがとうございます。それではごゆっくり』
自分の力で手に入れた常連である女子高生たちへのサーブを終えて、さっき注文されたものを作りはじめる
その間も、客足が途切れることはない
カランカランッ
「お〜っす坊主、コーヒー頼むわ」
「俺も〜。あ、あとナポリタン二つ!」
『かしこまりました』
先代からの常連である中年男性と、俺が掴んだ常連の若い青年。どうやら師匠と弟子のようなものらしく、通っているのがバレてからは一緒に来ることが多くなった
『お待たせしました。抹茶ラテです』
裕子「ありがとね。やっぱりここの抹茶ラテを飲まないと、なんだか調子が狂うわ」
『そう言ってもらえて嬉しいです』
いまと昔を繋ぐこの店を、引き継いでよかったと本当に思う。俺は十分に満足している
裕子「あら?その手、どうしたの?」
『!...ちょっと、グラスで切ってしまって』
裕子「あらそうだったの...気をつけてね?」
『ご心配、ありがとうございます』
...たった一人の、弟の行方だけが心残りではあるが
日向「柘榴く〜〜ん!お会計お願い!」
『はいただいま』
だけどそれを客に見せるわけにはいかない。彼らに俺の個人的な事情はなにも関係ないのだから
...さて、いつもの挨拶で締めますか
『ご来店ありがとうございました』
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佳乃(プロフ) - とっても面白かったです!完結おめでとうございます! (2018年10月10日 4時) (レス) id: e3737ad166 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 完結おめでとうございます。すごく面白かったです。また、別の作品が出ましたら、楽しみにしてます。 (2018年10月8日 22時) (レス) id: d2016535f2 (このIDを非表示/違反報告)
まっどさいえんてぃすと(笑)(プロフ) - 完結おめでとうございます。凄く面白かったので、これからも頑張って下さい!別の作品が出たら楽しく拝見させてもらいたいです。 (2018年10月8日 21時) (レス) id: a0f994ede7 (このIDを非表示/違反報告)
カトレヤ(プロフ) - さとうしお*さん» コメントありがとうございます!あったかいお話なんてはじめて言われました...! (2018年10月8日 19時) (レス) id: cdce025386 (このIDを非表示/違反報告)
さとうしお*(プロフ) - 完結おめでとうございます(*´ω`*) とっても面白くて、温かいお話でした。 (2018年10月8日 19時) (レス) id: e621729321 (このIDを非表示/違反報告)
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