６４。 ページ30
.
「〜ってことがあって…かっこよかったんだ、ヒラマチ！」
「ふ〜ん…それで、その瀬原ってやつはどこの会社の人？住所は？それから実家の電話番号と「ちょっ、怖いよレトくん！？」
あのヒラマチに助けてもらった！なんて話を誰にも話さずにいられるほど私は大人ではない。
レトくんはセクハラさんに静かに怒っていてそれどころではないみたいだけど…
「わ、このハンバーグ美味しい！」
レトくんの家で手料理をご馳走になるのは久々で、心が躍る。
「よかった！…ってそれより！そういうセクハラ野郎がいるならおれも一緒に現場に…」
「もう。またそれ？大丈夫だよ。たしかにあの時は危なかったけど…」
「…キヨくんは？いなかったの、その時。」
「え？スタジオの設営だったからいないよ？」
ふーんと相槌を打ちながら、箸を止めるレトくん。
何か嫌な予感がする。
「最近さ、おれよりキヨくんといる時間の方が多いんじゃない？」
「えっ…そう、かな？撮影もあるし、現場が一緒だから一緒のことは多いけど…」
「わかってる。仕事だってわかってるけど…不安なるの、わかるやろ？」
う、私が関西弁に弱いのを知って…！
首を少し傾げながら寂しそうな子犬のような目をする彼に勝てる方法があるのだろうか。いや、ない。絶対にない。
真に罪なのは、可愛さではなく自分の可愛さを理解したうえで全力を尽くしてくる可愛さだとわかる。
「だから、な？あんまり仲良くしすぎないでほしいんよ。」
思わぬ要求に、食べようとしたハンバーグを落としてしまった。そんなこと言われると思ってなかったから。
「ほんとはもう二度と話して欲しくないけど…そうもいかないし。ね？Aちゃんは、おれの方が大事だよね？キヨくんより、おれをとってくれるでしょ？」
私の目を見て、ちいさく微笑むレトくん。
はじめて彼を怖いと思った。
ずっと見つめられていると、心の奥の気持ちを読まれてしまう気がして、すぐに落としたハンバーグに目を向けた。
「うん、わかった。」
私はそれ以外の言葉を見つけられなかった。なんて言うべきだったんだろう。
「よかった！それじゃあ、約束ね。破ったらお仕置きだからね」
今度は満面の笑みになって、美味しそうにハンバーグを頬張っている。お仕置きって一体…？
私はとんでもない約束をしてしまったのかもしれない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 311人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちゅ〜る - 更新してくれてありがとうございます！更新されてるのを見て嬉しすぎて叫びたくなっちゃいました、もう内容が好きすぎて...！お忙しいと思いますが更新頑張ってください！心から応援しています(o^^o) (2021年2月17日 0時) (
レス) id: cb42e8d372 (このIDを非表示/違反報告)
Malia(プロフ) - 遅コメ失礼致します(о´∀`о)めっちゃ好きなんですが心臓が持ちません_(┐「ε:)_主様は今お忙しいのかな…?夜しか眠れないほど続きが楽しみです(●´ω｀●) (2020年9月20日 2時) (レス) id: b99f87fcb7 (このIDを非表示/違反報告)
Misya - 突然のコメント失礼します!ぴより様のストーリーが好きすぎて、ファンになりました！更新頑張ってください！ (2020年3月1日 19時) (レス) id: 6862801167 (このIDを非表示/違反報告)
ぴより(プロフ) - にぼしさん» コメントありがとうございます…！！にぼしさんの性癖に刺されて嬉しいです（；＿；）！更新遅くて申し訳ないですが気長にお付き合い頂けたら嬉しいです！！ (2020年2月20日 22時) (レス) id: f82d25de14 (このIDを非表示/違反報告)
にぼし(プロフ) - 突然のコメント失礼します…ぴより様の書かれるれとさんが性癖過ぎてしんどいです…更新頑張ってください！ (2020年2月9日 23時) (レス) id: 6acb1113f7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴより | 作成日時：2019年11月6日 23時
