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｢…どうして？｣
その声は、ゆっくりで穏やかな声だったが確かに低い声だった。
｢私のことが嫌いかい？｣
｢それは、違う｣
｢ならどうして｣
｢私は傑が思ってるような人じゃないの｣
｢じゃあもっと教えてほしい。｣
私の言葉に彼は間髪を入れずに返答をするが、教えてほしいという言葉に私が答えられず会話が消える。私が口を止めたのがわかると傑の方からまた口を開く。
｢自暴自棄になっているのなら、今の言葉は無かったことにするよ。何を言おうと私は君が好きだ。｣
｢違う、私は下劣なんだよ。傑には相応しくない｣
｢相応しくない？好きという感情だけで十分じゃないか｣
｢無理しないでよ｣
｢なにも無理なんてしていない｣
｢好きじゃないでしょ、私のこと｣
再び会話がプツリと切れる。次は傑が何も答えなかったのだ。
何、図星？嘘でもいいから好きだよって言ってよ。自分勝手だけど、嘘でもいいから、何か言って。
そして先程とは逆に、私が続けて口を開く。
｢傑がずっと持ち歩いてる指輪も、傑の部屋にある女の子らしい置き物も、全部亡くなったあの子のものでしょ？
私、それにずっと嫉妬しててさ。あの子の代わりになればいい、いつか私だけを見てくれるって期待してたけどさ。
ごめん、やっぱり無理だった。荷が重すぎる。ずっと辛い。｣
最後の方は涙混じりの声だった。
｢私のためにも別れてよ｣
両膝を抱える腕の力が無意識に強まって、気付いたら痛かった。ギチギチと金属の指が食い込む。それでも私は力を弱めなかった。
｢こっち向いて。｣
思わずビクリと肩を上げた。
何せ私が爆発したように連続で言葉を発した直後に、傑が隠そうともしない苛立ちを声に出していたからだ。
｢ねえ｣
傑は私が動かないと把握すると私の組んでいた腕を無理やり解いて、ベッドに強引に押し倒された。
部屋の明かりで眩しく、目が慣れるまでよく見えなかったが、彼は怒った声とは逆に悲しい顔をしていた。
｢私は紛れもない君が好きだ。これは嘘じゃない。
あの指輪も、部屋にある小物も、身近な人間の死という過去に囚われていたからだ。気持ちに気付いてあげられなくてすまない。
でも、今の私は君が誰よりも好きだ。言葉だけじゃ不安かい？｣
彼は私の上に跨りながらもプチ、プチ、と自分の服のボタンを外して上着を脱ぐ。
｢弱っている君を支えてあげるつもりだったよ、でも、私だって君のことで必死なんだ｣
彼の首元に、あの指輪はなかった。
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rix(プロフ) - 尊さん» お待たせ致しました！只今公開致しました〜！！犬小屋から出てきてくださ〜〜い！！！！お家に帰りますよー！！ (2021年3月27日 9時) (
レス) id: c4228ae6c4 (このIDを非表示/違反報告)
尊 - rixさん» なぬ、神様の作品なら絶対読みます！犬小屋で地団駄踏んで待ってます！ (2021年3月24日 17時) (レス) id: b48a344f5f (このIDを非表示/違反報告)
rix(プロフ) - 尊さん» コメントありがとうございます！わー！そう言っていただけると嬉しいです(;;)休日に新作出すと思うので是非そちらもお読みいただけると嬉しいです笑 (2021年3月24日 17時) (レス) id: c4228ae6c4 (このIDを非表示/違反報告)
尊 - めちゃくちゃ感動しました！あなたは神作の神様だったですね、一生崇拝します (2021年3月24日 14時) (レス) id: b48a344f5f (このIDを非表示/違反報告)
rix(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます！よかったです！！笑自信結構なかったのでそう言っていただけると嬉しいです！！ (2021年3月22日 13時) (レス) id: c4228ae6c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rix @元荼毘
| 作成日時：2021年2月28日 14時
