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「その子が起きたらその腐った顔絶対やめろよ」

「わかっているさ」

目の前には、少しの生気もない顔をした彼女。

硝子の術式で何とか一命は取り留めたものの、布団を剥がせば痛々しい身体。

右腕が消え失せ、昨夜の任務がどれほど壮絶なものだったか容易に想像できた。

「五条は?」

「泊まりで任務。帰ってきてから事情を説明するよ。」

「あっそ」

ようやく近くで彼女の顔を見れたと思えば、瞬きすらしない昏睡状態。

君に触れたい、そう思っていたはずなのに、死人のように冷たい君の手に触れても腹立たしい程の苦痛を感じるだけであった。

「言ってたよ、お前をよろしくってね。

久々に声が聞けたと思ったら、すぐにでも死んでしまいそうな声してお前の心配をしてた。」

「彼女が、声を」

「お人好しが過ぎる。全く、珍しい善良な人間だよ」

「よく知っているさ」

とは言え、昨夜から彼女の治療をしていた硝子は、まだ一睡もしていないのだと目の下にできた隈で把握できた。

私も任務で負傷した時には、よく硝子に治してもらったものだ。頭が上がらない。

「君はもう休んだ方が良い。ここには私がいる。」

「最初からそのつもり。変なことすんなよ」

「今の私にこれ以上のことは何もできないさ」

私は今できる最低限な笑顔を硝子に向けた。



“わかれたい”

このわかれたいと言うのは、恋人関係の解消という意味の別れたいだったのだと思う。

その一言が、私に深く刺さった。

これを見た瞬間、は?と自分でもわかるくらいの腑抜けた声が出た。

私は無我夢中に電話を入れた。何度も、何度も。

繋がらない電話、応答のないメッセージに取り乱す私は苛立ちさえ生まれていた。

焦燥感が絶えず繰り返される時に、流れてきたのは彼女が任務の負傷で重体という情報。

いつまでも嫌になる情報に、息があがる。

この時、あのメッセージは彼女の愛情そのものであったと直ぐにわかった。

おそらく彼女のことだから、私が一度婚約者を亡くしていることを気にして、二度と私に同じ目に遭うことのないように仕向けたかったのだろう。

彼女はとんだお人好しである。そして、大馬鹿だ。

私は欠損した身体で眠りにつく彼女がとても心配で、心が引き裂かれそうなくらい心配で。

私は、そんなお人好しの彼女を、私は確かに愛していた。


「別れるつもりなんて、ないよ。

素敵な声、君だけの声で、

もう一度、君と話をしたい。」

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rix(プロフ) - 尊さん» お待たせ致しました!只今公開致しました〜!!犬小屋から出てきてくださ〜〜い!!!!お家に帰りますよー!! (2021年3月27日 9時) (レス) id: c4228ae6c4 (このIDを非表示/違反報告)
- rixさん» なぬ、神様の作品なら絶対読みます!犬小屋で地団駄踏んで待ってます! (2021年3月24日 17時) (レス) id: b48a344f5f (このIDを非表示/違反報告)
rix(プロフ) - 尊さん» コメントありがとうございます!わー!そう言っていただけると嬉しいです(;;)休日に新作出すと思うので是非そちらもお読みいただけると嬉しいです笑 (2021年3月24日 17時) (レス) id: c4228ae6c4 (このIDを非表示/違反報告)
- めちゃくちゃ感動しました!あなたは神作の神様だったですね、一生崇拝します (2021年3月24日 14時) (レス) id: b48a344f5f (このIDを非表示/違反報告)
rix(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます!よかったです!!笑自信結構なかったのでそう言っていただけると嬉しいです!! (2021年3月22日 13時) (レス) id: c4228ae6c4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:rix @元荼毘 | 作成日時:2021年2月28日 14時

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