馬鹿と単細胞。

Ep.２９ ページ30

Side A






『────終わった、終わったけども･･･』





容赦なく消毒液ぶっかけたからか、
どちらかといえば今の方がグロッキー状態のふたり。





『･･･いや、ほんと、ごめん』


「だ、大丈夫ですよ！
ありがとうございます！」


『ま、元気ならいいんだけど。
ご飯食べてく？』


「いいんですか！？！？」


『おぉうッ』





一気に元気になる今井くん。単純。





『そんな大層なものは作れないけど』





冷蔵庫にあるもので適当に。





「女の子の手料理なんざ人生初だぜ･･･ッ！」


『そんなに凝ったもの作れないからね』





オムライスと、野菜スープ。





『オムライスこれくらい食べれる？』


「食えます！！
･･･谷川よォ、この会話夫婦みたいじゃねぇか！？」


「そうっすね今井さん！」


「俺と、Aさんが･･･夫婦･･･！！」





白目剥いてぶっ倒れた今井くん。

起きてー。ご飯冷めちゃうよー。


起きない今井さんはほっといても大丈夫、とのことらしいけど
誰かとこうして家でご飯を食べるのなんて久しぶりだし、どうせなら一緒にいただきますしたいじゃない？


谷川くんにぐゎんぐゎん揺さぶられてやっと起きた今井くんは
お行儀よくいただきます、と手を合わせて
勢いよくオムライスを掻き込む。





『どう？美味し？』


「･･････ぐすん」


『なんで泣く！？』





どうした、美味しくなかった！？





「･･･俺･･･もう、死んでもいいです･･････」


『だめだからね、生きててね』


「美味すぎて･･･俺もう、今なら三橋に何されても許せるぜ･･･！」





そんなこと三橋くんに言ったらほんとに何されるかわかんないよ。





「めちゃくちゃ美味いっすAさん！」


『よかったぁ』





ここまでベタ褒めされると照れる。


口の端にケチャップつけて、
「おかわり！」だって。

こんなに美味しそうに食べてくれると作りがいがある。





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