人質【4】 (ページ27)

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Ep.１６８ページ27

side Kayano

────3月8日。

「･･･ガルムフェニックスだぁ･･･ッ、！」

床に倒れた先生に手錠をかけようとした刑事さんを蹴り倒したのは、“ガルムフェニックス” だった。

『よかった、
よかった、っていうかなにこれ～･･･』

泣いちゃうのと、笑っちゃうのとで、Aはもう大変な顔になってる。

《おいおい、正義のヒーローが犯罪に加担していいのかよ･･･？》

ガルムフェニックスは、答えずに刑事さんに向かって構えた。

《･･･面白れぇ。
ヒーローと戦うチャンスなんて滅多にないからな･･･》

そうは言ったけれど、刑事さんはガルムフェニックスに飛び蹴りをくらわされて気を失ってしまった。

『ッ、もういいよね、？』

Aは準備室を飛び出して行った。

慌ててその後を追いかけ、抜け道から一緒に柊先生の元まで走る。

『ッせんせ、一颯先生！！』

まっしぐらに先生に駆け寄り、その体を支えたA。

『先生ッ、しっかりして、一颯先生ッ！！』

「一颯、おい一颯！！」

『やだ、お願いだから･･･ッ』

完全に取り乱したA。

嫌だ嫌だ、と子供みたいに先生の体を揺すって泣き崩れる。

「･･･大丈夫だ、脈も呼吸もしっかりしてる。
一颯と、そこの刑事を運ぶのを手伝ってくれないか？」

「･･･ッはい、
A、大丈夫だから･･･、ね？」

『･･･うん、』

柊先生を準備室まで運び、まだ気を失ったままの刑事さんをハッチの下の資料室に運んだ。

･･･Aは、先生の傍を離れない。

『･･･さくら、私寝てたから大丈夫だよ。
先生の様子見てるから、寝てきていいよ』

ガルムフェニックスさんもいるし、とAは微笑んだ。

「ほんとに大丈夫･･･？
体調悪いって言ってたし、心配なんだけど･･･」

『吹っ飛んだよね、ガルムフェニックスさんで。
大丈夫。しんどくなったら私も寝るし。ね？』

とにかくさくらは休みな、と言われ、疲れているのもあって。

それでもやっぱり心配だったから、美術室で休むことにした。

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