人質【3】 (ページ25)

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Ep.１１９ページ25

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「A、起きて！」

『もうちょっと寝かせて･･･』

「起きろ」

『いﾞだぁッ』

寝起きの悪い私に、さくらと甲斐が共謀してモーニングコール。

少し前ならありえなかった光景。

『･･･甲斐、デコピンはだめだ』

「起きねぇからだろ？」

上着を剥ぎ取られ、寒さに震えて小さくなると今度はさくらに無理矢理立たされて。

「歯、磨きにいこ！
ついでに先生のところ行って、朝ごはんも！」

『朝から元気ねぇ』

なんならちょっと楽しそうじゃないの、あなた。

トイレに行くと、女の子達は皆歯を磨いていたり髪を梳かしていたり。

「そろそろお風呂入りたいよね、もう限界」

「気持ち悪いよね」

「ねぇA、ぶっきーにお願いしてくれない？」

愛華が突然、歯を磨いていた私に手を合わせてきた。

『･･･ふぇ、わふぁひ？』

「何言ってるかわかんないし」

「 “え、わたし？” って言ってるの」

さすがはさくら。

『なんで？
別に誰が頼んでも一緒でしょ』

「いやー、だって･･･ねぇ？」

「やっぱそうだよね？」

『いや、なになになに』

顔を見合わせてはニヤニヤする涼音達。

「絶対ぶっきーと付き合ってるよね！？」

キラッキラした顔で聞かれる。

『ないない。付き合ってないよ』

「でも絶対好きだよね？」

『あぅ、』

瞬間、黄色い声が響いた。

「いいじゃんいいじゃん！
教師と生徒の禁断の恋！
しかも今は人質と犯人でしょ？
なんかロマンチックじゃーん！」

『いや、あのさ、』

「ぶっきーも絶対気があるって！
A、応援してるよ！頑張れ！」

『いや･･･』

こうなったら止まらないのが女子。

始まった恋バナからそっと抜け出し、さくらと一緒に準備室に向かった。

『せんせー、朝ごはーん』

「そこ」

いつも通りを装ったけれど今は心臓バックバク。

積み上げられたダンボールの山。
初日のあれはコイツ達だったんだな。

『どれでもいいの？』

「あぁ、好きに選べ」

やったーどれにする、なんてさくらとわちゃわちゃする。
とはいえ中身はおにぎりかパンか、どっちか。

『あ、そうそう。
皆がお風呂入りたいって。
シャワーだけでもいいから、無理かな？』

「わかった。準備しとくよ」

『ありがと。
今日は体調どう？』

「大丈夫だよ」

『そう。よかった。
いこっかさくら』

一緒に準備室を出て、教室に向かった。

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