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Ep.109 ページ15

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ハッチから下を覗き込むと、皆どこか思いつめたような表情で。




「・・・なぁ、ここにくること、先生が許可したのか・・・?」




なんだか、おかしい。




「・・・ううん。
さっきぶっきーが教室で倒れて・・・」

「先生が・・・ッ、?」




ほら、おかしいよね。


皆、先生の心配をしてる。

言うこときいて黙って待ってたっていうのも、なんか変だよね。




「里見、無事だったか!?
瀬尾、西崎・・・!皆も・・・ッ」




待って、と止めたけど男の子の力なんて勝てるはずもなく、皆下に降りていってしまう。




「おい、ここから脱出できんじゃ・・・ッ!!」




やっぱりそこにも特殊な鍵がかかってるらしく、光永の悔しがる声が上の準備室まで聞こえてきた。




「だったら逢沢に解除させる・・・!
おい、逢沢呼んでくれ!!」




下から光永に呼ばれる。

でもこのまま呼んでいいものなのか迷ってると、下から里見くんの声が聞こえた。




「・・・俺達は、学校から出るつもりは無い」




・・・ねぇ先生、里見くん達に何を話したの。


神妙な面持ちのまま、皆が上に上がってくる。




「よかった・・・!
みんな生きてた・・・ッ」

「これで全員帰れる・・・!!」




本当に嬉しそうにはしゃぐ皆の表情を見ていたら、どうしても口を開きにくい。




「・・・ねぇ、どういうこと・・・?
学校から出ないって・・・」




涼音が中尾くんに聞いた瞬間、静寂が響き渡った。




「皆に、話がある・・・!」




その中で口を開いたのは、里見くんで。




「────ここに、残ってくれないか」




私と同じことを考えてた。

教室の端で逢沢くんが立ち上がったのがわかる。


・・・でも、私は先生がどうしてこんなことをしてるのか知らない。
里見くん達は全て知った上で、こう言ってるんだ。




「・・・は、?」

「お前何言ってんだよ?」




当たり前だけど皆のまとう雰囲気が少しピリつく。




「先生と一緒に、このまま学校に残ってほしいんだ・・・」




本人達も言いづらいんだろう。
唇を噛んでいたり、掌を握りしめていたり、各々思うことがあるらしい。




「どうしたどうした、頭でも打ったか?」




兵頭くんを筆頭に、からかうように笑い始める。


そんな声を割って、瑠奈が口を開いた。




「・・・先生は・・・ッ、
─────私達のために、こんな事件を起こしたの」





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- いつもみてます! (2019年3月12日 15時) (レス) id: c232dbe5e9 (このIDを非表示/違反報告)
- 作者様、好きです。すこですすこ。 (2019年2月17日 10時) (レス) id: 8656a872ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しぃも | 作成日時:2019年2月17日 3時

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