Ep.６７ ページ20
side Gunji
内通者は、A組の男子生徒。
SNSでやり取りしたことを頼りに、全国大会が行われた体育館で話を聞きに行くことにした。
移動中にA組の生徒名簿に目を通していた宮城が声をあげる。
「A組で水泳部だったのは景山澪奈と、真壁翔と、熊沢花恋･･･。
･･･うっわこの子美人。郡司さん見てくださいよこの子。えーっと、緒方A･･･、」
「･･･あ？」
「うわ、美人だって言ったら反応したよ･･･」
「違ぇよ馬鹿。もう1回名前言え」
「･･･緒方Aっすけど･･･。
どうしたんすか郡司さん」
画面に映し出された、あの頃の面影が少し残る顔
蘇ったのは、12年前の地獄絵図。
──────
血塗れの一軒家の中から運び出されてきた、まだ小さな女の子。
彼女が、緒方Aだった。
「･･･一家心中だってよ。
娘は奇跡的に一命を取り留めたが、両親は死亡。兄弟も祖父母もいないから天涯孤独。可哀想に･･･」
大して思ってもいなさそうに上司が呟く。
「･･･いくぞ郡司、」
居間に父親、台所に母親の遺体。
父親の手に刃物が握られているのを見るに、父親が妻と娘を刺したんだろう。
家具は倒れ、皿やら花瓶やらは割れて散乱し、フローリングに広がる真っ赤な血。
「･･･酷いな」
窓の外で、救急車のサイレンが鳴る。
あの子だけでも助かってよかった。
「父親の会社が倒産。
借金返済できずに･･･ってとこですかね」
「それもあるが、父親は酒を飲むと暴力を振るう男だったそうだ。妻にも娘にもな。
それに耐えかねた妻は他に男を作って、娘を捨てた。
時折帰ってきては、コンビニの飯を買い与えていた」
だからあんなにやせ細っていたのか、あの子は。
「･･･で、今回たまたま両親が鉢合わせになり、夫婦喧嘩の末、父親は母親を刺した。
無理心中っていうやつか。娘の腹も刺して、自分の首も切ったそうだ」
白い壁に飛び散った赤いそれは、父親のもの。
「･･･あの子にとっちゃ、とんだ災難だったわけですね」
「まぁ、可哀想だが施設行きってとこか」
「･･･今度見舞いにでも行ってやります」
同情、と言われればそれまで。
だが、あの子があまりにも可哀想だったから。
──────
「･･･そんなことがあったんすね･･･」
「ああ、忘れるわけがねえよ」
柊一颯、お前は緒方Aの過去を知っているのか？
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しぃも(プロフ) - りんさん» 返信遅れて申し訳ないです。 “ しぃも ” で作者検索していただければ出てくるかと思います。 何かしらのバグが起きたらしく、なぜか私の作品じゃない扱いになっておりまして、、(笑) お手数おかけしてすみません！ 目を通して頂いてありがとうございます。 (2019年4月6日 23時) (
レス) id: 1ee6008b97 (このIDを非表示/違反報告)
りん - 人質1が見つからないです（泣） (2019年4月3日 23時) (レス) id: b95582035d (このIDを非表示/違反報告)
◎SaE(プロフ) - いつも拝見させていただいてます！字体変えたらシリアス度増し増しですね…！更新応援してますっ (2019年2月5日 8時) (レス) id: 522d62b950 (このIDを非表示/違反報告)
saya - 続き、早く読みたいです。 応援してます (2019年2月1日 20時) (レス) id: bb5437bc9e (このIDを非表示/違反報告)
猫夜桜((シラキ(プロフ) - あんれぇ〜？こんな所に崇める事しか出来ないほどの最高小説があるぞぉ〜？←いやもうね、最高w凄い面白い！これからも頑張ってください！ (2019年1月25日 1時) (レス) id: 4588ab3ba5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しぃも | 作成日時：2019年1月16日 4時
