気付かない男、今井です。【III】

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「おはようA！
もうチョコは今井くんに渡した？」

『おはよ、理子ちゃん。
まだ渡せてないの。放課後に渡そっかなぁ、って。
あとね理子ちゃん。いつもありがとう』

「くれるの？やったあ！
じゃ、私からも！」




理子ちゃんからのお返し。

嬉しくってニヤけていると、ホクホクした伊藤さんとピリピリした三橋さんがやってきた。




「うへへへ、」

「ああぁもう！！
なんで俺様にはねぇんだ！？
アレか！？格好よすぎて渡せませんってかアァン！？」

「そんなに欲しいならやるぞ三橋。
俺は京ちゃんからもらえれば充分だからな」

「同情ですかァ！？」




どうやら、“卑怯者” のレッテルを貼られて有名になってしまった三橋さんは誰からもチョコをもらえなかったらしく。

対して伊藤さんは、優しくて真っ直ぐだから鞄がチョコでパンパンに。
でも京子さんからのはちゃんと、しっかり両手で握りしめていて。溶けちゃいますよ。




「そんなに欲しいならあげるわ三ちゃん！
ついでに伊藤ちゃんもッ」

「あ、俺はついで？」

「いよっしゃぁ！！
ありがとな理子！！！」




本気で嬉しそうな三橋さん。
理子ちゃんも顔を赤くして、ほんとに好きなんだろうなぁ･･･。




『･･･って、私からも･･･！』




忘れてた、とは言えない。




「え、マジで？
今井にじゃなくて？」

『今井さんのは別で作ったので、』

「惚気かよくっそ！！」




やさぐれモードの三橋さん。

はやく自分の気持ちに気付いて理子ちゃんとくっついてほしいな。




「三橋さぁぁあん！！伊藤さぁぁぁあん！！！」




遠くからリーゼントがぴょこぴょこ走ってくる。佐川さんだ。





──・──・──

今更ですがバレンタイン。
しばしお付き合いくださいませ。
(ひな祭り過ぎた挙句バレンタインは2月15日だと勘違いしてた)

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