気付かない男、今井です。【III】

Ep.１１７ ページ23

side 今井







「───Aちゃんのことが好きだ！！」





つ、ついに言ったぞ･･･！！


俺は、Aちゃんに告白したぞ･･･！！




言いたいことは言い切った。



情けねェが正直怖い。

だから、ぎゅっと目をつぶっていれば。




──── ぎゅぅぅう･･･ッ




「･･････ほぁ！？」




目を開けると、俺に抱きつくAちゃん。




「え、ぉあ！？･･･ッえ？」




全く状況が理解出来ない。


俺の腰に腕を回して、俺の胸に顔を埋めるAちゃん。




「･･･はぅああッ」




やること可愛すぎて、腰が抜けそうになった。



つーか何で！？

なんでこの子は、俺に抱きついてんだァ！？




『･･･ばか、』

「え」




今、聞き間違いじゃなければ。

この子今俺に、“バカ” って言ったよな？


三橋と伊藤には言われ慣れてたが、Aちゃんに言われるとクるものがある。





( つらい･･･)





『･･･どれだけ待ってたと思ってるんですか、』

「待っ、てた･･･？」




この子が、俺を？




『･･･あんな逃げ方しちゃったし、すごく会いづらかったんです･･･！
だから避けちゃって、日が経つにつれてどんどん会えなくなっちゃって、もう限界だったんです･･･！』




俺の胸に顔を埋めて泣く、Aちゃん。


どうしていいかわかんねェけど、とりあえず泣き止ませるために、小さい背中に腕を回してそっと撫でた。




「･･･ごめん、」




ほんと、何やってんだ俺。


無理矢理キスして、泣かせて。



こんなんじゃそりゃあ、“バカ” って言われるわな。

嫌われて当然だ。






『───好きです、今井さん』







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