【wrwrd!】糸が紡ぐ世界【男主】 (ページ5)

今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:7,751 hit

4話ページ5

装備の確認と買い出しをして、シャベルで戦う人がいるらしい噂の方へ足を進めた。

「A、ちょっと急ぎすぎやないか？」

ハッ、として周りを見る。
少し後ろでチーノが呆れたように歩いていた。

「……ごめん」

「もしかして知っとる人なん？」

不思議そうに放たれたその言葉に、2つの意味でドキッとした。

1つは、図星をつかれたこと。もちろん、その噂の人はシャオロンではない可能性だってある。それでも、チーノが隣にいるのだから信じてみたい。

そしてもう1つは、彼がシャオロンのことを覚えていない事が、はっきりわかったこと。前世で過ごしたあの一瞬のような永遠を忘れられているのは、胸が張り裂けるような悲しみが襲ってきた。

「……もしかして、程度だけどな」

その声は震えていた。

あぁ、クソ。チーノが困ると分かっているのに。

自分にどうしようもない怒りが込み上げる。

「……A、俺疲れたからあの木陰で休ませてくれへん？」

「うん、大丈夫。俺も休みたい」

チーノの優しさに感謝しながら、木陰に腰を下ろし、頭を冷やす。

もう大丈夫だろう、という時にチーノが進もうか、と声をかけた。思ったより人を見ていて少し驚くが、その呼びかけに応答して立ち上がった。