嘘を破って【ツイステ】 (ページ25)

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どんちゃん騒ぎ、寮生ははしゃぎ、寮長が招いたのであろう他寮の生徒まで紛れている

うるせぇ、と右の耳たぶを右に回す
ぐるりと談話室を見渡すと見知った顔ばかりで逆に気持ち悪くなる

知り合いが沢山いる所って無性に胸がざわざわするんだよな、普通は安心するのだろうが

「何をぼーっとしているんだ？A
仕事は大体終わっているんだし、くつろいでいろ」

『....そういうジャミルは仕事があるんだろ？そういう事もあろうかと仕事は交代制として説明しているから、君こそ休んでいいよ』

いつの間に、と驚く彼を横目に膝に頬杖をついて夜のスカラビアを見る

やはり夜は好きだ、心が落ち着く
こんな喧しい夜は苦手だけどな

ゆっくり瞳を閉じて、一呼吸おき瞼を開く
まだ仕事が残っているからな

『ジャミルさんよぉ、ちょいと抜け出してリフレッシュでもせんかね？』

そう言っておいて返事は聞かずに彼の背中を無理矢理に押して外へ連れ出す

柔らかな風が吹く、月も姿を現す今夜
寮の噴水の所でふわふわと浮かぶ何かと戯れる少年が一人、そこにいた

『やぁカリム、待たせたね』

「A....いいや、待ってないぞ
ありがとな、オレの為にジャミルを連れてきてくれて」

元気が取り柄の彼も大人しく、柔らかく微笑む
その笑顔にジャミルは一瞬硬直して嫌そうな顔を全面にだす

そんな彼の肩にずん、と力を入れて笑う

『そんな顔せずにさ、せっかく彼の誕生日なんだぜ？話くらいしてやればいいじゃないか』

「.....はぁ、分かったよ」

渋々、といった表情をするがそれでも寮長は嬉しそうにする
私はそろりそろりと移動して彼らから程よく距離をとり事の様子を見つめる

するとふよふよと絨毯が近づいてくるからふわりと撫でてやる

「えっと、ごめんなジャミル。でも、どうしても一緒に過ごしたくて....」

「別に、これからも困るくらい共に生きるんだからそんな顔をしなくてもいいだろう、腹が立つな」

「....生きてるかなんて、分からないだろ？」

その言葉にジャミルは目を見開いて驚く
カリムは噴水の水を片手でひとすくい
骨ばった細い手の隙間から水が零れ落ちて行く

　
　
　
　
　