26.？？？ ページ27
？？？side
今日は何時にもましてアジトに緊張した空気が流れる。外は陽が沈み、闇がたちこめている。物音は団長がめくる本のすれる音だけだ
昼は団員達が騒ぎ散らかしてる広間だが今は違う。皆団長を見て緊張感を高めている。
だがそこに1人だけ様子のおかしい奴がいた
Aだ
Aは下を向いたまま一向に顔を上げようとしない
髪の毛で顔は見えないが、手を力いっぱい握りしめていた。どうした？と思い訳を聞こうと手を伸ばす
その時団長が本を閉じ立ち上がった
Aとは対照的に前を見据えている
「次の
「俺が許す。派手に殺れ」
団長が言った。瞬間ウボォーの雄叫びがアジト中に響き渡る
ウボォーの声で広間の窓が微かに揺れた
緋の目…聞いたことがある。山奥に住む少数民族で、感情が高ぶると目が綺麗な緋色になるらしい。そしてその色は世界七大美色にも数えられている
Aが突然口を開く
「駄目だよ。クルタ族を襲ってはいけない」
瞬間的にAを見る。さっきまで下を向いていたはずの目は団長をしっかりと捉えていた。
Aが言うには緋の目を奪えば必ず死人がでると言うことだった。だが団長は俺達はやりたいことをやるだけだと返す
そうワタシ達はクルタ族に殺られる程弱くはないし、死などとうに覚悟はできている
その言葉を聞いてAは目を見開いた。いつもの輝かしいほどの金色は光を失っている
突然Aは覚悟を決めたかのようにナイフを握り団長に向かい合った
「なら…力づくで止めるよ」
Aが走り出そうとした瞬間、首に手刀を落とす
ワタシは倒れ込んだAを支え顔を見る
Aのその瞳から涙の雫が落ち、ワタシの服を濡れさせた
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作者名：てん | 作成日時：2021年8月28日 22時
