#178. 隠してたコト。 ページ32
後ろから抱き締められた反動で、少し体が前に倒れる。
……って、待って。ちょっと待ってよ。
冷静にナレーションしてる場合じゃない!
私、今、
二宮先輩に……抱き締められてるの……?
「せんぱ、」
「何も言うな」
心臓が口から飛び出そうになるくらい近くで、二宮先輩の声がした。
小さな私の心臓はもう、リミッターを外して凄まじい速さで波打っている。
耳を、頬を、くすぐる先輩の柔らかい髪。
抱き締める先輩の腕は、思っていたより力強い。
先輩の肩、胸、それからアゴ。
当たってるとこが全部全部、熱を帯びてくる……。
「俺、お前に謝んなきゃいけないことあるんだよね」
「……え……?」
耳元で聞こえるその、声にドキドキしてるのか
言葉の中身にドキドキしてるのか……。
「ホントはもっと前から、お前と付き合ったら楽しいだろうなって思ってた。でも、言わなかった」
抱き締められてる肩はお茶でも沸かせそうなくらいに熱いのに、手足の先は氷のように冷たい。
先輩の声を、ひとつも聞き漏らさないよう
じっと息を潜める。
「電話、掛けなくなったのは、Aが気になって集中できなくなったから。初詣に誘ったのは、試験の前に、顔を見ときたかったから。連絡しなかったのは、手続きとか忙しかっ……」
少しだけ、先輩の腕の力が強くなる。
「……いや。嘘ついた。どんな顔して何話せばいいのか、分かんなくなっただけ」
息が。
苦しい。
「……あのね、先輩」
窓から差し込む陽の光を遮ってしまわないように、そっと囁いた。
心臓と一緒に声も震える。
「私も先輩に謝らなきゃダメなこと、あるんです」
「……へぇ、何?」
「私、いちごみるくはちょっと飽きました」
しばらく間を置いて
先輩が静かに笑い出した。
クハハ……って、息の漏れるような笑い。
先輩も私と同じように、この春の光たちを邪魔したくないと
そう、思っているのだろうか。
1973人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
琴子(プロフ) - めろん。さん» わぁーおかえりなさい、受験お疲れさまでした!!(遅いか!笑) ただいま絶賛続編書き書きしております、書きながら作者もニヤニヤしちゃう() 月日を経て段々デレデレしてきちゃう先輩の姿を早くお届けしたいな! 嬉しいコメントありがとうございました(*.゚ω゚) (2019年1月19日 23時) (レス) id: 41dca15b9a (このIDを非表示/違反報告)
めろん。(プロフ) - 1年前受験生の時にずっと読まさせていただいてました。1年前ぶりに帰ってきてすぐに読んできました!少しずつ変わり始める二宮先輩の行動にニヤニヤが抑えきれませんでした。今頃どうしてるんでしょうか笑続編楽しみに待ってます! (2019年1月19日 12時) (レス) id: 22a17272cb (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 愛渚さん» わぁ…コメントありがとうございますーめちゃくちゃ嬉しいです( ;∀;)コメントに勇気いるの分かります! でもいつでも大歓迎、わくわくしながら待っておりますので気軽に送って戴けたら嬉しいですー(*.゚ω゚) 続編、一刻も早くお届けできるよう頑張りますっ!! (2019年1月8日 10時) (レス) id: 41dca15b9a (このIDを非表示/違反報告)
愛渚(プロフ) - はじめまして。ずっとコメント書きたかったのに、恥ずかしくてなかなか書けませんでした。いつもキュンキュンしながら読ませていただいていました。続編、楽しみにしております! (2019年1月8日 2時) (レス) id: 83e74fc252 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - かりんさん» 終わってしまいました!! 最後までお疲れ様です!!! やーそこまで感情移入していただけて作者冥利に尽きる゜゜(´O`)°゜ 最高な読者さんたちに支えていただいて完結することができました! 沢山読んでいただいて、本当にありがとうございます! (2018年11月5日 18時) (レス) id: 41dca15b9a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:琴子 | 作成日時:2018年9月8日 0時