#172. ロボット。 ページ26
ドアの影に隠れて階段を降りてく上野先生を見送ったら、屋上でひとり立ったままの相葉先輩が
「盗み聞き好きだね、いちごちゃん」
……そうだろうと思ったけど、やっぱり、バレてた。
「……ごめんなさい。気になっちゃって」
「素直でよろしい」
そーっとドアから出て行ったけど、相葉先輩はこっちを向かない。
「いちごちゃん、ニノんとこ行かないの？」
「あっ……探してたんですけど、どこにいるか分からなくて」
「そう、そっか」
声はやっぱり明るくて、だけど少し涙が混じってた。
「ニノごめん、ちょっといちごちゃん貸して」
相葉先輩が校庭の方を見た。
横顔が少しだけ見える。
先輩は
笑顔じゃなかった。
「ちょっとだけ……ここ、いてもらってもいい？」
こくん、と頷いたら、先輩は安心したように少しだけ力を抜いた。
強い風に、卒業証書のリボンがはためく。
「相葉先輩」
「……うん」
先輩の横顔が
「卒業、おめでとうございます」
「うん、ありがと……」
少しずつ、崩れていく。
「受験も、いい結果だったんですよね？」
「うん……」
必死に笑おうとして引きつる筋肉。
「安心しました。おめでとうございます……」
「……ん……」
震える手が、自分の頬を触った。
まるで
自分が壊れたことが受け入れられないロボットのように
「あ……れ……」
「……」
「どうしよ、いちごちゃん……」
本気で動揺した目が、揺れながら私を捉えた。
「笑い方……分かんなくなっちゃった……」
見たことも、想像したことも無いくらいに歪んだ相葉先輩の初めて見る顔。
優しい中に鋭い意志を持っていた目から、ぽろり、ぽろりと涙が零れ出す。
それを一番受け入れられてないのは他でもない、相葉先輩自身で
私は、黙ってハンカチを差し出すことしかできなかった。
初めて話した時の、いちご柄のハンカチ。
肩を震わせて泣く相葉先輩が、ハンカチを顔に押し当て、コンクリートの地面に崩れ落ちた。
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琴子(プロフ) - めろん。さん» わぁーおかえりなさい、受験お疲れさまでした!!(遅いか！笑) ただいま絶賛続編書き書きしております、書きながら作者もニヤニヤしちゃう() 月日を経て段々デレデレしてきちゃう先輩の姿を早くお届けしたいな！ 嬉しいコメントありがとうございました(*.ﾟωﾟ) (2019年1月19日 23時) (
レス) id: 41dca15b9a (このIDを非表示/違反報告)
めろん。(プロフ) - 1年前受験生の時にずっと読まさせていただいてました。1年前ぶりに帰ってきてすぐに読んできました！少しずつ変わり始める二宮先輩の行動にニヤニヤが抑えきれませんでした。今頃どうしてるんでしょうか笑続編楽しみに待ってます！ (2019年1月19日 12時) (レス) id: 22a17272cb (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 愛渚さん» わぁ…コメントありがとうございますーめちゃくちゃ嬉しいです( ；∀；)コメントに勇気いるの分かります！ でもいつでも大歓迎、わくわくしながら待っておりますので気軽に送って戴けたら嬉しいですー(*.ﾟωﾟ) 続編、一刻も早くお届けできるよう頑張りますっ！！ (2019年1月8日 10時) (レス) id: 41dca15b9a (このIDを非表示/違反報告)
愛渚(プロフ) - はじめまして。ずっとコメント書きたかったのに、恥ずかしくてなかなか書けませんでした。いつもキュンキュンしながら読ませていただいていました。続編、楽しみにしております！ (2019年1月8日 2時) (レス) id: 83e74fc252 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - かりんさん» 終わってしまいました！！ 最後までお疲れ様です！！！ やーそこまで感情移入していただけて作者冥利に尽きる゜゜(´O｀)°゜ 最高な読者さんたちに支えていただいて完結することができました！ 沢山読んでいただいて、本当にありがとうございます！ (2018年11月5日 18時) (レス) id: 41dca15b9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：琴子
| 作成日時：2018年9月8日 0時
