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20、寒色の ページ20

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「離してっ!アンに潰させるわよっ?!」


『此処には、私達以外誰も居ない』


「それがっ、どうしたって言うのよっ」



もがき続ける細く小さい体を離さない




『此処でなら、弱音を吐いても良いんだよ』


「〜っ、、だからなんだって言うのっ?幸せに生きてきた貴女なんかに私の何がわかるって言うのよっ?!」


『………、そうね。この私はとても幸せ者』


「はぁ?」


『此処には誰も居ない…』



半ば自分に言い聞かすように言葉を紡ぐ



「……………」


『……少し、お話しようか』






あぁ、今まで思い出す事のしなかった懐かしい感情達


私の半分を構築していながら、


そっと蓋をして見えないようにしていた、蘇る寒色の感情





1人、何時も1人の哀しい人が居たんだ


その人はね、誰かに必要として欲しかったんだ


誰かに自分と云う存在を認めて欲しかったんだ


誰かに一緒にいて欲しかったんだ。


何も言わなくて良いから、


ただ背中合わせで座って居てくれるだけで良かったんだ。



でもね、その人は必要とされる価値もない、


一緒に居てなんの価値も無い人間だと自分で思っていたんだ。



貴方が要らないと言われて捨てられるなら、


その人は捨てる以前に手に取ってすら貰えないその辺の石ころだったんだ。



最初は足掻いてみたよ。でも足掻く力も尽きてしまったの


もういい、独りでも大丈夫、大丈夫


だんだん諦めがついてきて


生きるのにも疲れて、…………




(それで……………それで?)








「……とっても、可哀相な人の話ね」


『そうだね…。』


「……、…………私もっ、嫌だった、怖かった、寂しかった。
痛かった、苦しかった、どうにかなってしまいそうだった!
でも、誰も助けてくれないっ!こんな役目でもやって、
必死にこの私の唯一の居場所に縋り付いて居なければ
私になんかなんの価値も無い!悲しかった!辛かったの…!!!」




綺麗な少し癖のある緋色の髪を撫でる


嗚咽を漏らしながら静かに泣く彼女を誰が責められようか


腕の中の少女はやっぱり、どれだけ大人びていても、やはり少女だった






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月夜の浜辺(プロフ) - 頑張って下さい (2023年1月1日 0時) (レス) @page41 id: 728094f8c1 (このIDを非表示/違反報告)
帽子(プロフ) - https://uranai.nosv.org/u.php/novel/bousi08211/ (2020年7月24日 13時) (レス) id: abdb937301 (このIDを非表示/違反報告)
帽子(プロフ) - 作者です。ログイン出来なくなったので、すみません。こちらを参照して頂きたいです。https://uranai.nosv.org/u.php/novel/bousi08211/ (2020年7月24日 13時) (レス) id: abdb937301 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 更新待ってます、時間が空いた時にゆっくり書いてください。いつでも待ってます。 (2019年8月15日 23時) (レス) id: 1a532e4f84 (このIDを非表示/違反報告)
二次元好きのAlice(プロフ) - 初コメ失礼します!いつまでも待ってるので書いてください! (2019年8月15日 20時) (レス) id: dae695a2d7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霧禍 | 作成日時:2017年10月11日 0時

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