合法ロリの何でも屋は武装探偵社員に転職したようです 【文スト×REBORN！ クロスオーバー】

56 転職しました ページ20

その日の仕事を終えた私は、ポートマフィアの首領である森さんに電話をかけていた。

呼出音を聞きながらビルの屋根から、夕陽に染まるヨコハマの街を見下ろす。

「出ないわね…」

またかけ直すか、と小さく呟いてビルから飛び降り、路地裏に着地する。

表通りに出ようかと思ったが、そのまま裏路地を通って帰宅する事にした。

背後に誰かがついてきているから、ね。

気配はないし、振り返っても誰もいないがつけられているのは確かだ。

裏路地はあまり詳しくはない。

小さくため息をつき、ビルの壁を見る。

3階に窓。

私は跳躍し、窓の淵を蹴ってさらに上へと飛ぶ。

ふわっと宙に浮いた体を少し捻り、方向を修正し、ビルの上に降り立つ。

ヨコハマで仕事し始めて思ったが、余程動ける人でもない限りここまで動けない様だ。

誰にもつけられてない事を時折確認しながら屋根を通って帰宅する。

今日は午後に太宰と1度顔を合わせたが、あれ以降独歩さんと依頼に行ったっきり二人共帰ってこなかった。

帰る時に乱歩さんから「どうするの？」と聞かれたが、本当にどうしよう…
1度気がついてしまえば気持ちは急速に成長してしまい、今にも溢れ出しそうだった。

イタリアにいた時は引き継ぎと特訓により、まだ気を逸らすことが出来たが、これからは仕事の日は彼と顔を合わせる事になる。

嬉しそうな笑顔で私を抱きしめた太宰が脳裏によぎった。

自分でもわかるくらい熱を帯びる頬を押さえれば

「あれ、Aの姐さん？」

目の前には鼻に絆創膏を貼った青年と

「誰かと思えばA君か…戻っていたのだね」

モノクルをつけた白髪の男性。

「道造！広津さん！」
「うお？！」

助走を付けて道造に飛びつけばよろめきながらも、きっちりと受け止めてくれた。

「2人とも本当に久しぶりね、もしかして今から飲みにでも行くの？」

そう問いかければぽん、と私の頭に道造の大きな手が乗る。

「あぁ、中也さんに呼ばれてな」
「…ご愁傷様、道造」
「A君もどうかね？」

広津さんに誘われ、頷きかけてハッとしてやめた。

「ごめんなさい、これからはもう行けないの…」

そう言えば広津さんと道造は顔を見合わせて私を見る。

「理由を聞いてもいいかね…？」
「…この度何でも屋は武装探偵社員に転職しました」

広津さんはほお、と言っただけであったが、道造の叫び声は夜のヨコハマに響き渡りそうな勢いであった。

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