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48 背中 ページ12

目が覚めると朝食の時間の1時間前で、昔からの習慣とは言えど、ここで過ごすと必ずこの時間に目が覚めた。

身支度を整え、皆が集まる食堂へと足を向ける。

すれ違う部下達が慌てて頭を下げ、私の背中を見送る。

『何故A様がここに…?』
『いつの間に帰ってこられたんだ…?』

そんなヒソヒソ話が聞こえてきたという事は…部下の方まで情報は回ってないのね。

幹部クラスの人だけ、か…。

ふ、と前を見れば、ふわふわの羽のエクステと、綺麗なティアラ。

気配を消して静かに駆け寄り、その背中に飛びついた。

『兄様!ベル!おはよう!』
『Aか』
『下手くそ、バレバレだったし?』

しししっと楽しそうに笑うベル。

確かにベルには避けられてしまったが兄の背中には抱きつけたのだ、下手ではないと思いたい。

『下手で結構!兄様にはバレなかったもん』

兄様は少しだけ口角を上げ、私を抱き上げ一言。

『……少し、太ったな』

それを聞いた瞬間ベルは吹き出し、私はため息をついた。

『兄様、久しぶりに会った妹に対してそれは酷くないかしら』
『事実を言っただけだ』

文句あるのか、と言いたげそうな目。

『確かにちょっと太ったけど…ちょっとだけだもん!』
『痩せろ』
『なら下ろしてよ、歩くから』

そう言えば無言で歩き出す兄。

『…もしかして寂しかったの?兄様』

そう呟けば兄は無言で私を床に落とした。

落としたと言っても無事着地した為問題ないのだが。

落ちる間際に小さな声で

『少しだけな』

なんて聞こえたのはきっと気のせいではない。

寂しいなら素直に言ったら帰ってきたのに…。

『姫ー』
『早く来い、A』
『待ってー!』

私は小さく笑い先ゆく兄とベルのあとを追いかけた。

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さにー☆彡(プロフ) - 霧島沙羅さん» そんな昔のものまで見てくださるとは……! 嬉しいです!! こちらこそ楽しんでかけました、ありがとうございました!!これからも応援しております! (2018年7月1日 23時) (レス) id: 632d3b069c (このIDを非表示/違反報告)
霧島沙羅(プロフ) - さにー☆彡さん» もちろんです!必ず読ませていただきます!ワンピの夢も面白そうでしたし全力で読ませて頂きますね!ありがとうございます!大切に保管し、使用させて頂きますね、本当にありがとうございました! (2018年7月1日 23時) (レス) id: d11fd893a6 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - 霧島沙羅さん» はい! もし良ければご覧になって頂けると嬉しいななんて← ありがとうございます!! こんなイラストで良ければ、ぜひ好きなようにお使い下さい!! (2018年7月1日 22時) (レス) id: 632d3b069c (このIDを非表示/違反報告)
霧島沙羅(プロフ) - さにー☆彡さん» そうだったんですね!こちらこそありがとうございます!拝見させて頂きました!どちらも可愛くて語彙力が消えていく..!どちらも紹介させて頂いてもよろしいでしょうか?!私だけ知っているのが勿体なくて、皆様にもさにー☆彡様の素敵なイラストを見て頂きたいのです! (2018年7月1日 22時) (レス) id: d11fd893a6 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - 霧島沙羅さん» ほんとに描いてて楽しかったです! 私も一作品文スト×REBORN書いたので、もうテンション上がってしまいまして← ありがとうございました!! (2018年6月29日 20時) (レス) id: 632d3b069c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霧島沙羅 | 作成日時:2018年3月4日 20時

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