お別れと我慢 ページ10
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それから2回目、3回目と回数を重ねていくうちに私とのんちゃんは更に仲良くなった。
そうこうしているうちに遂にプール監視員バイトも最終日を迎えてしまう。
今日も今日とて私は2人の平和な喧嘩を見守る。
なんやかんや楽しかってんけどな。
「 ほんまチビ助やなぁ〜 」
「 だいきうるさいっ！おとなのくせに、」
「 ほれほれ、届く？なあ届く？ 」
「 ………きらいや、おねえさぁん！」
「 やからお前ズルいって！！」
『 大毅？ 』
結局最後は、のんちゃんが泣きべそをかいて私が大毅の頭をひっ叩いて終わります。
大人のくせに………小一に正論かまされてどうすんねん。ほんまにいつまでも子供なんやから。
『 のんちゃん泣かんといてや。
大毅のことはプールにでも沈めてええからさ 』
「 死んでまうやんけやめてくれ 」
「 Aおねえさんっ、
あんなあ、だいきがなあっ、のんのことめっちゃいじめてくんねん、」
『 うんうん。辛いなあ 』
「 ……猫かぶりのクソガキが 」
『 なに？ 』
「 すんませんでした 」
「 だいきおにいさん！あっちでゆいたちとあそぼ〜？ 」
「 ええでー遊ぼかー 」
3人くらいの女の子達に連れて行かれた大毅は疲れてしまったのか少しダルそうに歩く。
アンタ、ただ邪魔しに来てるだけやん。
「 んへへ、だいきおらん、
ぼくだけのおねえさんや！！ 」
そう言ってずぶ濡れな身体で私に抱きつく。
まあ、今日は許してやるか。
かわいいし。
こんなこと出来るのも今日で最後やしね。
『 のんちゃん。ちょっとさ、お姉さんのお話聞いてくれる？ 』
今の気分はまるで別れを切り出す彼女。
けどそれくらい楽しかってんからええやろ、別に。
「 ん？なにぃ〜？ 」
変わらず私の腰に腕を巻き付けるのんちゃんは、ハテナを浮かべてその大きな目で私を見上げる。いちいちかわいいなあもう。
『 今日で終わりなんよ、のんちゃんと会えるの 』
「 …………また、あえる？ 」
『 え？ 』
予想外の返答に間抜けな声が出てしまった。
「 ま、またっ、のんはおねえさんにあえる？？ 」
『 ………会えるよ。また来年の夏に 』
「 っほんまっ？ゆびきり！！！ 」
こんな元気に言うてるけど、
「 っ、」
目には溢れんばかりのそれを見てわたしも思わず垂れそうになる。
…………カッコイイぞ、のんちゃん。
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作者名：むんく 。
| 作成日時：2019年8月15日 15時
