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バックハグ ページ43

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Kotaki side



何を作ろうかと冷蔵庫を物色しているAさんを
キッチン前のカウンターから頬ずえをついて眺める。
うんカワイイ。


「 なんかええな、こういうの。新婚さんみたい 」

『 すーぐ調子乗るんやからこの子は。
いい?明日はちゃんと家に帰るんよ 』

「 はぁーい 」


冷蔵庫からある程度野菜を取り出し終わったAさんは手際よく野菜を切り始める。
ほんまに新婚さんみたいや。
Aさんと結婚したら毎日美味しい料理食べれるんやろなぁ。


そう、やんな。



「 …………………、」

『 …………お、急に静かになった 』



俺じゃない誰かとそうなってたら、って考えたら急に不安になってしまった。
でもその未来の方が可能性としてはめちゃくちゃ高いわけであって。

この世界に男なんてわんさか居るし俺は所詮その中の一人。
しかもAさんからしたらまだまだ子供、ただ少し昔に関わりのあった高校生ってだけ。



…………………そう考えるとあんだけあった自信もなくなってまうな。



『 ほんま小瀧くんは喜怒哀楽が激しいねぇ 』

「 ごめん、なさい 」

『 えぇ?何で謝ってんの?見てて飽きひんからそのままで居ってな 』


あからさまに沈む俺にAさんは変に気を遣うことも無く、淡々と野菜を切りながら柔らかく笑う。

口調こそ関西人らしくキツい時はあるけど俺はこんなに優しい人を見たことがない。


現にまだ出会って数日しか経ってない俺を家にまであげてくれて仕舞いにはご飯まで振舞ってくれるなんて。
確かに我儘言うたのは俺やけどこんなに尽くしてくれなくてええのに。突き放してくれてええのに。

優しい彼女がそんな事せえへんって分かってるからその優しさに甘えてる。

…………………やっぱあかんなぁ、俺。




『 なに? 』

「 ………何もない!Aさんカワイイ! 」

『 なんや、いつものお調子者戻ったんか 』


この現実が続けば続くほど当たり前やと思いそうで、失った時が怖い。



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作者名:むんく 。 | 作成日時:2019年8月15日 15時

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