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「 ………アカン、可愛い 」
小瀧くんはとっっっても素直だ。
思ったことはその時その時に真っ直ぐに伝えてくれる。
人としてそれは素晴らしいことやと思うけど、
その被害者のわたしとしてはこの上なく恥ずかしい。
『 そんな……見んといてくれる、かな 』
「 っ今の、可愛かったっ！！ 」
まさに子犬のような彼は人の懐に入るのも上手。
というよりもうすぐアラサーの私より経験豊富なのかもしれない。
いや絶対そう。こんなイケメンなんやもん。
「 さっきからなんでそんな不服そうな顔で見てくるんです？ 」
『 別に、なんも無いけど……… 』
「 けど？ 」
『 悔しいなってちょっと思っただけ。私の方が何年も長く生きとるのに小瀧くんの方がこういうの慣れてそうやん 』
私が小声でそう言うと、小瀧くんは面白可笑しそうに
ぶふっと吹き出した。
やはり私は彼のようにはなれない。
「 別に慣れてへんよ。
俺、こんなんAさんにしかせんって決めとった！ 」
どやぁって自信満々な彼を半信半疑な表情で見つめた。
あわあわと焦り出したのを見て更に怪しく感じた。
「 ほんまほんま！！
俺初めて会った日からAさん一筋！
何なら生まれてから今まで俺ずっと、童てっ……あ、 」
『 ………… 』
「やってAさんが信じてくれへんから……」ってさっきから小声でいじけっぱなしの小瀧くん。
こんな大人びているけど所詮は彼も男子高生。
ホンマに流星といい勝負なくらいアホやなこの子……
なんてなんやかんや小瀧くんのことを気に入ってしまっている自分が居るのも事実やったりする。
こういう子が部下やったらええな、とかそういう意味で。
『 ほんっまに、小瀧くんの頭の中どうなってるん？ 』
「 えー知りたい？ 」
『 いや別に深い意味は無いねんけど、んぐっ』
模範解答かのように満面の笑みを見せびらかした小瀧くんは、私の顔を大きな掌で包んだ。
無邪気。
そんな言葉が今の彼にはピッタリなのかもせーへん。
「 Aさんでいーっぱい！ 」
「 やから、」
「 ……俺から目逸らしちゃアカンで。Aさん 」
『 っなに、』
綺麗な顔が近づいてきたと思ったら
私の唇の端にキスを落として、
小悪魔な彼はまたも悪戯に笑うのだ。
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作者名：むんく 。
| 作成日時：2019年8月15日 15時
