検索窓
今日:5 hit、昨日:31 hit、合計:441,897 hit

再会 ページ11

.



_____それから約10年が経った今。
私はもう立派な社会人だ。




結局翌年、就活やらなんならであまりの忙しさにバイト所ではなく、

のんちゃんとの約束は守れずに終わってしまった。




ひと夏だけの思い出。
10年前のことなんて、大毅もわたしも覚えているはずなんてない。

もちろん彼も。






そう、思っていた。




.





『 休憩行ってきます 』

「 あ、丁度ええわ。
テキトーになんか買ってきてや 」


ほいっと雑に渡された五千円札。
もう見慣れた顔に思わず溜め息が出る。



『 自分で行き 』

「 そんなケチくさいこと言うてるから、いつまでも相手が見つかれへんねや 」

『 ………大毅、ごちそうさま 』


五千円札をぎゅっと握り締めて、風のように大毅の前から去っていく私。
後ろからなんか聞こえるけど無視やそんなもん。

レディーに失礼なこと言うたあいつが悪いねん。





『 んーっ!ふぅ 』


外の空気が心地よくて背伸びをする。
あーあ。また大毅のパシリやん。


まあ今日は奢りやから許したろ。




高校卒業して8年ほど経った現在。
大毅と同じ職場で働いてもう8年という月日が経ってしまった。

10年以上一緒にいる大毅とはもう家族も同然。
わたしもだいぶ丸くなった方やと思う。


あんなんやけど無駄に成績の良かった大毅は推薦を貰っていた大学を蹴って何故か私に付いてきた。

なぜそこまでして私に付いてきたのか
未だに詳しい理由は教えてくれない。


「ただの自己満やから、お前は気にすんな」
とかなんとか言ってた気がするけどやっぱり気になるもんは気になる。




社会人になった今も女性社員からモッテモテの大毅は、もう相手が見つかってもおかしくないくらいやのに何故かまだ居らんみたい。



"〜〜いつまでも相手が見つからへんねや"


いやアンタも大概人のこと言えんけどな???


もちろん、そんな大毅と一緒に居る私は女性社員から妬まれることも少なくはなく、社内では結構変な噂が回っている。


"男何人も居る"とか"取っかえ引っ変えしてる"とか。
最近はそんなんばっか。ワンパターンやねん。


まあ、気にしたら負けってやつやで。



.

.→←お別れと我慢



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (541 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1839人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:むんく 。 | 作成日時:2019年8月15日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。