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そして。
ポツン、とリビングに残されたのは——私ひとり。
「……あの、私は帰っていい……?」
逃げ道を探そうとしたその瞬間。
「主人公。」
ジョシュアが微笑みながらこちらを振り返った。
「主人公の“朝帰り”の話、まだ聞いてないよ?」
後ろでハニとクプスは腕を組みながら「聞こうか」と言わんばかりに立ち塞がり、
ウォヌは知らぬ顔でリビングを出ていった。
完全に退路は断たれた。
私は乾いた笑いを浮かべた。
「……あの……本当に巻き込まれただけなんですけど……?」
誰にも届かない声で、そっと呟いた。
そして気がつけば、私はなぜか
ソファの前のカーペットに正座させられていた。
目の前には、まるで“裁判”のように三人が横一列に並んでいる。
真ん中にどっしりと構えるエスクプス。
右側には優しい笑顔なのに目だけ笑っていないジョシュア。
左側には腕を組んだまま、小言の準備万端といったジョンハン。
——Carat が見たら確実に悲鳴を上げる光景だなと他人事のように考える──
「……えっと…?」
弱々しく声を出すと、ジョシュアがぴくりと眉を動かす。
「言い訳があるなら聞くけど? “まともな”ものだけね。」
その声音は、優しさを装ってはいるのに、逃げ道は一切くれない圧があった。
「いや…その…言い訳というか…」
視線を泳がせると、すぐさまジョンハンが冷たく遮る。
「主人公。昨日、自分がなんて言ったか覚えてる?」
「えーっと…?」
曖昧に返した瞬間、彼の目にハッキリとした失望の色が浮かぶ。
「覚えてないんだね。じゃあ教えてあげるよ。」
ジョンハンの声は、静かであるほど残酷だった。
「“どうしても片付けたい仕事があるから行く。でも必ず日付が変わる前には帰る”——
そう言ったよ。それで俺たちは渋々許した。」
「……あ!」
「“あ”じゃないよね、主人公。もしかして忘れてたの?」
ジョシュアの声は静かだったが、その静けさが逆に背筋を凍らせた。
「……いや、その……忘れてたというか……」
言葉を選ぼうとする前に、スンチョルの鋭い声が落ちた。
「言い訳はいい。結局、また朝帰りしたんだよな?」
抑えた口調。
なのに、部屋の空気が一段階重く沈む。
視線をあげると、真ん中のスンチョルが腕を組み、左右でジョシュアとジョンハンが完全に“逃がさない”という目で見ているのがわかる。
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作者名:チューペット | 作成日時:2025年12月8日 14時


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