純愛スクランブル【Taiga.K】 (ページ47)

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「ごめん」

ごめんなんて、謝るのは俺の方なんだけどな。

Aは本当に隙だらけだ。

工藤にどんなシチュエーションで、どんなタイミングでキスされたのかなんて分からないけど…

そもそも同性にキスされるなんて思わないし、油断もクソもないのか。

ああ、もう、腹立つ。

お互い荷物を持っていないから必然的に教室に戻らなければいけない。

「じゃ、待ってて」

「うん、わざわざありがとう」

工藤から逃げて来たAを、また工藤がいるかもしれない教室に戻すなんてできる訳もなく玄関で待っててもらう事にした。

帰る準備はできているらしいからAのカバンを持って来るだけ。

「好きだよ」

教室のドアに手をかけた時、中から聞き慣れた声がしてドアを開けるのをやめた。

特徴的でこんな声、1人しかいない。

「森本…」

慎太郎が、工藤に告白してる。

「急にごめん、返事はすぐにじゃなくて…」

「ありがとう、付き合おっか」

「っえ！！ま、ままじで？！」

…は？

慎太郎の告白の相手工藤だよな？
驚きの返答のあまり、思わずドアを開けてしまった。

やっぱり、工藤だ。

「え、きょも！？なんでここに、」

「あー、いや、ちょっと用事あっただけ。すぐ出るから」

顔に似合わず薄ら赤面している慎太郎と、

本当に告白された後なんですか？って顔した工藤。

工藤とは顔を合わせないように、Aの荷物を探した。

「Aの席、そこ」

「…さんきゅ」

俺が何をしようとしているのか、まるでお見通しで少し気まずかった。

まぁ、流石にそうか。

慎太郎は何が何だかって顔をしているけど、それでもやっぱり好きな人と付き合うことになったばかりで嬉しそうな顔を隠しきれていなかった。

「あ、えっと…きょも。

俺ら付き合うことになったわ」

「うん、実は少し聞こえてた。おめでとう」

心の底からおめでとうなんて言えない。

かと言って今すぐにさっきまでの事を全て暴露して、慎太郎そいつと付き合うのは辞めろなんてもっと言えない。

慎太郎、きっと工藤はお前の事好きじゃない。

「とりあえず待たせてるから行くわ」

「おう！

きょもも頑張れよ」

「ありがと」

この時の工藤はどんな表情をしていたのだろうか。