ヒーロー科と結界師3 (ページ6)

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「歴史的にも、高貴なものというのは汚してはいけない存在なんだ…
下々のものは触れることは愚か、姿を見ることも声を聞くことも、近づくことさえ許されない

これは、世界的に見てもそうだよ
神に近づこうとした者は、必ず咎を受ける」

神？

「まぁ頑張れ。俺はまだやることがある。じゃあな」

「あ、オイ！」

ｿﾞｸｯ

兄貴が、なんかした

なんだよ、今の

『待てこのクソ兄貴!!』

「うわっと！」

『わ、バカ！』

「オイ！なんだ今の気持ち悪いの…!? やったのお前だろ!? なんなんだ今の!! 今のも、結界…だよな？」

良守にそう聞かれた兄貴は、月明かりに照らされた顔で笑いながら答えた

「お前たちにはまだ早い」

そう言って兄貴は進んでいってしまう

どんなに呼び止めても、行ってしまう

ー翌日ー

「お前には素質がある
術を極めるのも良いじゃろう。今更普通の生活をしろとは言わん
じゃが節度は守れ。術に溺れることは…」

「それは分かっています。俺なんてまだまだ…おじいさんの足元にも及びませんよ」

昼間から繁守は正守と茶を飲んでいた

「まだ総本部へは出入りしとるのか？
何度も言うが裏会に深入りするでないぞ。仕事と情報をもらうだけにしておけ
あれは、組織としてだいぶ変質してしまっとる
お前は1人でも十分…」

「大丈夫ですよ。ちゃんと、距離はとりますから」

「まあ…お前のことじゃ、さほど心配はしとらんがな」

「俺、今夜ここを発ちます」

「何、もう!?」

「仕事が詰まってまして」

「そうか…。のう、正守…居づらいのかもしれんが…家に戻ってこんか？
お前が居てくれれば色々と…あのアホたれどもはまっこと頼りなくてのう…。正守？」

立ち上がり、部屋を出ようとする正守は背を向けたまま言葉を発した

「あいつらは、俺より上ですよ。おじいさんだって、分かってるくせに」

そう言って、出て行ってしまった

夕方になると、正守はすでに帰り支度を済ませ見送られていた

「ハイこれお弁当。後飲み物と…」

「こんなに？ありがとう」

「気をつけてな」

「正兄、今度いつ帰ってくるのー？」

私と良守は、引き戸の近くで兄貴を見る